けまろう

真珠のボタンのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

真珠のボタン(2015年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

『真珠のボタン』鑑賞。想像していたよりも大分ドキュメンタリー。関係者へのインタビュー映像とナレーションが過去の物語を現在へと繋いでいく。宇宙の共通要素である「水」が古今の物語を結びつけ、起源からの記憶を持つ「水」がさまざまなことを語るだろうという形で締めくくられる。
人間の帰属意識と、それを超越した「水」の記憶によってそれぞれの物語がつながっていく構造はとてもスッキリしていて巧み。パタゴニアの民族は決して自分たちをチリ国民だとは考えず、近代産業に触れた嘗ての仲間を排斥する排他的な帰属意識は数多の悲劇を生みつつも人間の本質に迫っているようだ。
『リヴァイアサン』のように新しい視覚体験があるかと期待していた分、構成としては普通のドキュメンタリーで残念。
真珠のボタンと引き換えに近代西欧に連れられ、文明を飛び越えてしまったパタゴニアのジェミー・ボタンの物語だけで、ひとつ面白い映画が作れるのではないか。
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