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「真珠のボタン」に投稿された感想・評価

Nana

Nanaの感想・評価

3.3

このレビューはネタバレを含みます

美しいジャケ画と「水の記憶」をテーマにしたチリと海と宇宙の壮大な物語…と思ったら、インディオと独裁政権下で迫害された人々の「奪われた声」を聞かせてくれた超辛口ドキュメンタリーだった。
アマプラで見なければ知らなかった悲しい歴史。

ペルーやアルゼンチンのような大国に囲まれ、特に印象の無かったチリ。
何世紀もの間、街を作ることも神も警察もないインディオがカヌーに乗り、海と静かに暮らしていた。

スペイン人がやってくると、インディオ狩りが始まり、睾丸1つにつきいくら、乳房1つにつきいくらと報奨が払われ、ばい菌が着いた古着を着せられたインディオは命も言語も奪われた。

20世紀になると独裁政権下の下、反対する者は収容所で拷問を受け、亡くなった人は浮かばないようにレールを付けて、海に放棄された。その数、千数百人。
最近になって海から回収されたレールには、遺体は溶けて無くなっていたが、フジツボと共に被害者が着ていたシャツのボタンが残っていた。

水に記憶があってその声が聞けるなら、奪われた者たちの声が聞こえるでしょう…って、きれいにまとめたけど…人間って恐ろしい。
はじめて水滴を地球に届けた彗星は、どれだけ長い時間を旅してきたのだろうーーー。

水・海と深い絆をもつチリ先住民族の歴史。水の声を聴く、そして、水の記憶を解き明かすスピリチュアルドキュメンタリー!テレビ番組のよう!
akubi

akubiの感想・評価

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かつて彼の地に暮らすインディオたちは、地球という星と調和し、洪大な水を湛えた海と対話し、その郷愁から身体に宇宙をしるした。
そして今わたしたちはノマドたちのうたと地球の生きている音に、耳をすませる。小さなボタンは奪われし者たちの歴史を語り、その残酷な歴史とかつてあった長閑やかな営みを記憶する水が奏でる音楽に、こころをふるわせる。それは、わたしたちのなかにある 水 と共鳴しているからなのかもしれないと、そんな浪漫を馳せる、再再休業1日目の朝であった。
Ranma

Ranmaの感想・評価

3.7
留学中に、先生にこの人の絵を描けと言われてめっちゃくちゃにしわくちゃのおじいさんの写真が配られた。意味わからなかったけど、みんなそのおじいさんの写真を模写してた。
そのおじいさんの黒光りしてる皺と肉肉しい目が忘れられなくて、この映画の中に出てくる写真のインディアの人々を見ていたら、あのおじいさんもこの仲間だったのではないかと思った。
悲しみをたたえて濁った目と使い込んだ皮膚の生み出す謎の圧と美しさ、顔に意味がある。
文明なんていらない、ほんとに。
Melko

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3.5
水には記憶がある。
この世界には犠牲者と加害者がいる。
水と氷と火山が、死と大虐殺と拷問に結びつく、チリが抱える悲しく恐ろしい歴史。

語り口が哲学的で、ものすごく静かに淡々と進むため、何度も寝落ちそうになったけど、最後まで見た。
また一つ、アマプラを通して知らなかった歴史を知った。

一つのボタンと引き換えに人生と故郷を奪われた者を通しての先住民の略奪と迫害の歴史と、また別のボタンが伝える独裁政権下の大虐殺の歴史。それは、

「奪われし者たちの歴史」

水の遊動民だったパタゴニアの先住民たち。カウェスカル、セルクナム、アオニケン、ハウシュ、ヤマナの5部族。
水と共に生き、カヌーを漕ぎ、星を眺め、星に先祖を見る。そんな彼らは、入植してきた者たちに捕らえられる。野蛮人だと批判され、何もかも奪われ、その体は高く売れると狩られ、入植者が持ち込んだ疫病により数が減り、やがて滅亡へと追い込まれる。そんな中でも、彼ら先住民の純粋な血を引く子孫が20名とはいえまだ存命なことに感銘を受ける。彼らは普段スペイン語を話すが、自分たちの祖先の言葉はしっかり話せる。どうか何らかの形で後世に残して欲しい。

そして、ほんの30年前まで行われていたピノチェト政権。その中での虐殺の歴史。独裁政権に抵抗した者を収容所に詰め、殺し、ヘリに乗せて空から海へ落とす。美しい海が抱える、血塗られた歴史。奇跡的に浜辺へたどり着いた遺体が伝える、真実。

自分たちの国が抱える秘密、汚点、罪や膿を赤裸々に映し出すことは、祖国の恥を晒すということで、とても気が引けるだろうが、それを勇気を持って見せてくれた作り手に敬意を表したい。
そんなチリは、アタカマ砂漠にある国立天文台が有名だ。そこでは、世界一の星空が見れる。罪深い秘密を抱える国にも、綺麗なものがある。
ある学者が作中で言っていた、
「セルクナム族にとって、星は祖先の魂だ。では、北部の巨大な望遠鏡は何を探しているのか?人間が心の奥底で探しているものは、自分の祖先たちです。宇宙をもっと身近な存在にしたいのです」という言葉にハッとした。
「宇宙への深い郷愁から、技術は進歩した」のだと。
本当にそうだとしたら。テクノロジーの恩恵を受け、今を生きる私たちよりもはるか昔に生きた人たちの方が、その真理を肌で感じ、理解していたのだとしたら。
物に囲まれた生活で情報に溢れると、大切なことを見落としてしまい、何も感じられなくなるのかもしれない。

そして、わたしが話す日本語や日本という故郷が、いつか誰かに侵略され、言葉も何もかも奪われる時が来るのかもしれないと思うと、なんとも不安な気持ちになった…。
今があるのは、普通ではない。忘れてはならない。わたしたちの体にも、この地球にも、宇宙にも、水が存在する。大きく括れば、みな同じ。
見ていて心が洗われるような美しい水の風景から、そこに生きていた人々の水とのかかわり合い、海での生活を描いたあと、それを台無しにして殺戮を行った外部からの征服を描いたドキュメンタリー映画。すごく綺麗で、すごくショッキングでした。
きのこ

きのこの感想・評価

3.0
チリ、先住民の悲しくて残酷な歴史のドキュメント
、、、悲しい。
全く知らなかった歴史。いや歴史と言うには新しすぎて、ついこの前までこんなことが行われていたのかと思ったらゾッとする。
豊かな自然と綺麗な海と宇宙に抱かれながらそこに生きる人たち、そこに文明が入ったとして幸せなはずは無くその価値はそれぞれで、物に溢れて生活している人の方が何倍も不幸だと感じる人の割合は多くて。どっちが進化でどっちが退化しているのかさえわからなくなる。
宇宙にアンテナを向けるのも、繋がりたいんじゃ無く支配したいからなのでは?とも思えて来たり。
「光のノスタスジア」が良かったから今作も見たら、予想通り良い作品だった。特に前半は、自然のドキュメンタリー映画を見ているかのようでとても美しかったです。でもやはり、後半は残虐な虐殺について述べられていて、つらいけれど知っておかないといけないな…という内容でした。
m

mの感想・評価

3.4

ホドロフスキーが生まれた国、こうなってたんだというモノがたくさん知れて、ルーツを解った気がして嬉しかった。

分断されたチリ、島国の日本との差とか

人間と呼ばれなかった海に住む民族たちの記録が良かった。裸に絵を描いて、裸で暮らす。神がいて信仰心があって、
絵がアーティスティック。
こういう人間が排他されていくの、悲しいな
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