YasujiOshiba

ミッドナイト・スペシャルのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

ミッドナイト・スペシャル(2016年製作の映画)
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備忘のために

- おどろいた。何気なくクリックして見たら、ものすごくよい。ジェフ・ニコルス監督ね、名前覚えておかなきゃ。

- よいロードムービーというのは、この映画みたいに、説明があまりない。進んでいるうちに、いろいろわかってくる。それが旅、それが人生なんだけど、脚本を書くのは簡単じゃない。だから、よいロードムービーをみると嬉しくなっちまう。
しかも、みごとなSF、みごとなスペクタクル。映画はやっぱりこうでなくちゃならないよね。これ、日本では劇場公開されていないんだよね。なんとも残念。

- キャストがすごい。亡くなったばかりのサム・シェパードの存在感はカルトのグルにぴったりだし、キルスティン・ダンストの豊かな表情がなければ、あの子の母親という大切な役にリアリティが立ち上がらなかったはず。それからアダム・ドライバー。彼は『スターウォーズ』でライトセーバー振り回してるより、この物語のように、オタオタしながら芯の通った捜査官をやっているほうがずっと似合っているんじゃないかな。

- タイトルはレッドベリーのブルース "Midnight special" (1934)から来てるみたいだね。ミッドナイト・スペシャルとはシカゴからセントルイスまで走った夜行列車のこと。闇を進むその光を、刑務所の中の囚人が見て歌うのがこの歌。こんな歌詞が聴こえてくる。

Let the Midnight Special
shine her light on me
Now let the Midnight Special
shine her ever-lovin' light on me
ミッドナイト・スペシャル号
そのライトでぼくを照らしてくれ
さあミッドナイトスペシャル号、
その永遠の愛のライトでぼくを照らしてくれ

エンドタイトルで聴こえてくる歌声に字幕がついていないのが残念だけど、映画のタイトルは、その歌声を聴いてわかるように、夜の闇を照らしながら走り抜けるミッドナイトスペシャル号のこと。

ぼくがこの作品に見たのは、まさにそんな夜行列車の自由の光、永遠の愛の光だったというわけだ。
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