真魚八重子

故郷の便り/家からの手紙の真魚八重子のレビュー・感想・評価

故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)
3.7
ざらついたニューヨークの街並み。最初は道の真ん中にカメラをフィックスで置いて、古びたビルが広がる通りを撮る。しばらく同じ方法で場所を変えながら、次第に不穏な人を画格内に捉え、電車に乗り、地下鉄に乗り、車に乗り、カメラはスピード感を増していく。そして、最後は船に乗って後退していく。

母の手紙の内容の性急さ。しかしアケルマンも2週間に一通は手紙を出していたようだから、最期までの共依存がなんとなくわかる。映画を撮るためにニューヨークに渡った人が、2週間と空けずに国外の実家に手紙を書いていたことが驚きだ。母からの手紙を読み上げる声は地下鉄に打ち消されるが、そもそも母の手紙を読み上げる映画を撮る、母への執着を感じる。
真魚八重子

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