おさしみのたんぽぽ

シン・エヴァンゲリオン劇場版のおさしみのたんぽぽのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

長年好きなシリーズなので点数はムリです
「エヴァの呪縛」という枷によって14歳の姿のまま取り残されたシンジ、そしてある種の当時からの観客達
繰り広げられる戦いは最早インフレしていてシリーズの破綻を匂わせている様にも感じた
父との対立を終えた彼は「エヴァンゲリオン」という一つの御伽噺を終わらせる為、スタジオを畳み出す。虚構は終わって現実に戻り彼は大人となる(ここで現実の象徴でありつつも声優経験豊富な神木隆之介のキャスティングはベストでは無いか)DSSチョーカーという罪の印さえも解き放ち、彼らは「エヴァの呪縛」から解放されて現実へと帰る
様々なオマージュやシリーズの総括だけでなく
「シリーズとしてのエヴァンゲリオン」を完璧に終わらせた傑作。
過去作からのカット流量やある種チープに見える単語はおそらく意図的な物であるし、円環の終わりを示しているのだろう。
旧劇で「オタクは現実に帰れ」と冷淡な終わり方で終わらせた庵野監督も最後にその主張は変えないまでも、他者との触れ合いを恐れず現実へと戻ろうというテーマを内包したまま、メタフィクショナルだがきちんとした虚構の終わりとしてまとめ上げていた。
庵野秀明監督作品としての「エヴァンゲリオン」は間違いなくこれで最後だ、これからも「エヴァンゲリオン」というコンテンツは続くだろうし続編が出る可能性も捨てきれない。だが「円環の中のエヴァンゲリオン」というコンテンツはここで再び死に、シンジ達が畳んだスタジオが戻る事も無いのだろう。それを濃縮した様な2時間35分だった。
さようなら、そしてありがとう、全てのエヴァンゲリオン

追記2021/3/15
もう3回も見てしまった…追記したい点としては
・中盤のエヴァ2機射出〜腕(?)との格闘辺り少し見づらい…MX4Dでの鑑賞で少し緩和?
・「現実に帰れ」というのは少し違うかな…と、実写シーンでも歩く人達はアニメだしそれこそ「相補性のある世界」なんだろうな
・「さようならはまた会うためのおまじない」からの「さようなら、全てのエヴァンゲリオン」なんですね