モカ

シン・エヴァンゲリオン劇場版のモカのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

TVシリーズから四半世紀。
リアルタイム世代への、庵野監督からのボーナスステージ。
かつ、庵野の「エヴァの呪縛からの卒業式」だった。
旧劇でオタクを痛烈に批判し突き放した監督が「ケジメをつける」話。アニメーションの造り手として、先人から受け継いだ畑を耕し、種を撒き、次の世代に渡す話。クリエイターの想いと意志。

よく作ってくれた…よく見せてくれたなと思う。本当におつかれさまでした。

迎えに来てくれたケンケンの練馬ナンバーは、東映動画=先人達の暗喩かなと、練馬の映画館で観た私は思った。第3村は撮影現場のようであり、昭和の風景であり、復興の地。そこで作物を育てる…スタジオカラーの「おおきなカブ㈱」をそのカブの中でやってのける構成がアツい。
ミリオタだったケンスケが村を守る側になったのも監督と重なる。
もちろんシンジにもゲンドウにもミサトにも庵野監督がいたし、3.11を経て作られた作品であるということも大いに感じた。

二次創作でボロボロの惣流もおつかれさま。沢山の人の色んな思いを背負ってきたアスカ。初恋の人=キャラクターとオタクの卒業式でもあった。

極めつけはシンジの声。中盤での嗚咽には胸が震えた。その緒方さんから神木君へ。キャストすらも固定概念から解き放ち、驚きつつもシンジが本当に大人になったのだとすんなり受け入れられた。なんというトリプルA!!

旧劇では「現実に帰れ!」と蹴られた。
今度は「現実で生きていこう」と手を差し伸べての終劇。
私達も大人になった。作品世界を外側から受け取れるくらいには。

日常が破壊されても、折り合いをつけ希望を見つけ現実を生きるしかないということを、2021年の私達はもう知っている。

さよならエヴァンゲリオン。
ありがとう。
モカ

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