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シン・エヴァンゲリオン劇場版のAPlaceInTheSunのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

まずは庵野監督、お疲れさまでした!と言いたい。
(自分は、TVアニメシリーズと劇場版幾つかしか観ておらず熱心なファンではないですが😅)

エヴァンゲリオンはセカイ系(世界系)という作品郡の代表作とされていて、その特徴は
『「個人の苦悩やトラウマ」と「世界の終わり」「地球の破滅」みたいな大きな問題が直結する物語で、そこには中間的なコミュニティや社会が省かれている』
的な物語と言われている。

本作で印象的だったのは、3rdインパクトで傷ついたシンジとアスカとレイが休息する第3村。
そこは第二次大戦後の焼け野原の日本の様でもあり、東日本大震災後の荒れ果てた東北の地にも読み取れる。
そこで普通の生活を過ごしてこれなかった綾波レイが、人間としての生き方に事に目覚めていく場面がとても感動的。
「おはよう、おやすみ、ありがとう、さよなら」の意味。人と人が握手する意味。皆で汗水流して畑仕事をする喜び。村の伯母さん達との何気ない会話。赤ちゃんの笑顔が周りを笑顔にし、それが皆の希望である事。
根源的な人の在り方とは。

ここで描かれる農村はこれまでのセカイ系作品では描かれなかった部分で、シンジ・ゲンドウが個人的な葛藤や苦悩を乗り越えたのと同時に、エヴァがセカイ系という枠組みから抜け出て、エヴァンゲリオンの壮大な物語に終焉を迎えた。
この上ない大団円。



本作はTVシリーズや、過去のエヴァ映画作品の登場人物が次々に登場し、エヴァファンにはたまらない作品になっている。
エヴァパイロット達は、「もしもエヴァに乗っていなかったら」という未来が描かれる。
サラリーマン風のシンジと、恋人であろうマリが「普通」の人生を歩んでいる。向かいのプラットフォームにはアスカとカオルも。
カメラは上へパンして、古びたラブホが建つ、ありふれた日本の地方の「実写の」風景。見ると「新宇部川駅」これは庵野秀明さんの出身地だそうだ。
そう、言うまでもなくこれは彼自身の物語でも有ったと言う事。

今まで映画作品をいろいろ観てきて、「これは人生讃歌だ!」と思う系統の傑作が有って、本作も正に人生讃歌、生命讃歌だなぁ、と感じた。
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