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アンナの出会いのRMのレビュー・感想・評価

アンナの出会い(1978年製作の映画)
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シンメトリーな構図の連続と、水平方向の移動をなめるように拾っていくカメラワーク。素晴らしすぎました。電車の車窓からの景色も長い尺をつかって、移動という動作を丁寧に収めている。
(移動を省略しないことについては、アケルマン映画祭中の斉藤綾子さんのトークや濱口竜介の卒論に見解があったので、また今度きちんと整理する)

アンナが様々な人と出会い、彼・彼女らの語る言葉から自分がどう見られているか、また自分は自分をどう思うかを探ろうとする。決まって一方的に語られ、しかもその内容がおおよそ男と女、結婚、子ども、家庭について…第三者が聞いてもほとほと嫌気が差す。唯一アンナが自分の話をできたのが母親を相手にしたときで、なのに娘のカミングアウトを聞いた母は「お父さんには黙ってる」と言う始末。自分が受容される場所を、アンナはどこにも見つけられない。ひとりで帰るホテルに、たまに誰かを連れて帰ることもあるけれど。留守電を虚無の顔で聞き続け、その声はアンナを気にかけてくれてはいるけれど。
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