都部

ゾンビーワールドへようこその都部のレビュー・感想・評価

2.9
本作は玉石混交のゾンビ映画の中では比較的 B級映画としての体裁が整えられている作品ではあるが、挿入されるジョークの数々は悪趣味で下品極まりなく端的な不快感を催す物ばかりで、ゾンビ映画に付き物なゴア描写とは異なる点で人を選ぶことは請け合いの一作である。

その下賎なジョークの数々は彼等が性欲旺盛な思春期の童貞ティーンエイジャーであるからという要因から生まれるもので、その度を超えた下らなさに思わず笑ってしまうのも事実ではあるが、その大半がコメディとしての計算された笑いとは言えない作品とはさして関与しない場当たり的なシーンの数々で90分映画だというのに見ていて疲労感を感じるもの。

そうした馬鹿さ加減も徹底すれば良い物の、そうした徹底した低俗性が引き起こす反骨的な美学とはあくまで無関心に、物語は終盤でいそいそと体裁を整え始めヒロイックな活劇を見せる。彼等のお手製の武器の数々を前にしてゾンビが蹴散らされていく姿は爽快感があるが、その爽快感は絵面がもたらすインパクト頼りのもので、ドラマ性の結実がそこには付随していない。
何故ならそうした彼等の活躍はボーイスカウトである自分のアイデンティティとは関与しているとは言い難いからで、極限状態を通しての自己実現の物語として半端な出来を晒しているように思えてならないからだ。

そのためジャンクフード感覚で鑑賞するには持ってつけではあるが、そのセンスや場当たり的な進行を重々承知した上でという枕詞はどうしても避けられない。
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