マルカマーク

ノーザン・ソウルのマルカマークのレビュー・感想・評価

ノーザン・ソウル(2014年製作の映画)
3.5
オイ!そこのお前!!貴様だよ貴様!!!
クスリばっかキメねーで、魂だけで踊れやクソ!!!!

時は1974年。場所はイングランド北部のパッとしない町(主人公に言わせれば、クソみたいな町)。
学校でクラスメイトや先生にバカにされている内気な高校生、ジョンが主人公。
ジョンは、おじいちゃん子であり、バスで会う黒人の看護婦さんに片思いしているけれど、バスの席を譲るという「?」なアピールで精一杯な日常を送っている。
そんなある日、行きたがらなかったユースクラブ(よくわからないが学童みたいなところ?)に意を決して行ってみたジョン。
そこで運命の出会いが!!
ソウルミュージックをかけながらブルースリーのアクションみたく踊り狂うそいつは…ノーザンソウルに魂を売った男、マットだ!!
ジョンがマットを助けたところで2人は友達に。
そしてジョンも、ノーザンソウルの虜になっていった。
クソクソクソクソ言って家族とも学校ともさよならしたジョンは、お金を貯めてマットと一緒に誰も知らないファッキングレイトなレア盤を探しにアメリカに行こうと目標を立てる。
その資金を貯めるため、アルバイトしたりDJやったりとどんどんノーザンソウルの坩堝と化していくジョンとマット。
ショーンというヤバいダチもでき、あの看護婦さんアンジェラともいい感じになってきたが、DJとしての喜びを知り始めたジョンとクスリにのまれ過ぎてクソさがより際立ってきたマットは少しずつ気持ちにすれ違いが生まれてきて…というお話。

ノーザンソウルという言葉は聞いたことがなかった。
サザンソウルがアメリカ南部で生まれたソウルミュージックなら、ノーザンソウルはアメリカ北部で生まれたソウルミュージック…という音楽ファンの模範的な間違い(?)を鑑賞前は持っていた。
まさかの、イングランド北部の町で若者に熱狂的に愛された60年代のソウルミュージックだったとはね。ミュージシャン中心でなくリスナー中心。

映画の中にいた、ノーザンソウルに夢中になる若者たちは、正直ダンスはカッコ悪い。でも普段の鬱屈した生活を振り払うように手足を広げ踊る彼らは、クソッタレと大好きの間を行ったり来たりする火の玉みたいだった。
そしてダンスの合間に鳴らされる手拍子は、火の玉が飛び散ったように見えた。それは魂の震えと言ってもいい。
その魂の震えを感じたとき、素直にダンスを最高にカッコいいと思っていた。彼らに嫉妬もしたかもしれない。

パンクだけが若者の反骨精神を突き動かしたわけではないことを知れただけで、この映画を観た価値は大いにあった。

ただ、クスリでハイにならないと楽しくなれないの?踊れないの?
当時の文化を再現するには、ドラッグの描写は必要不可欠なのはわかっているが、どうしてもそこだけなんかダサいと感じてしまう。
シラフでもハイになれるヤツこそ本物だろうに。