アメリカの短編小説のような作品。
よそ者を受け付けない小さな街の小さな出来事。
貧乏で夢のない人がなんとかやり過ごすような毎日。
日雇いの肉体労働の息子が調子に乗って殺される。
だが事故として処理される。
悲しむ妻、連れ子の葬式を出さなくては行けない。
トラックごと冷凍肉を泥棒する。
葬儀屋に素敵な棺を勧められる。
バーの飲み仲間が葬儀代をカンパしてくれる。
カンパの金を競馬でスる。
街の新聞社、アル中のコラムニスト。
コラムニストと出来てしまう妻。
的を射たコラムは街の人からは非難されコラムニストは叩きのめされる。
街の人は変わらず。
よそ者は少し身を置いてはまた別の場所に行く。
StayHomeなどという世界的制約が緩やかに解かれた頃、実際にあったかどうか怪しい警察による黒人犯罪者殺しがBlack lives matters というウイルスに変容し人と人との分断を加速する。
他の人間が何をしてるか全ての人がお見通しの小さな街。
そんな住みにくい街が地球規模で広がるかもしれない監視社会の恐怖にも及んでいく。
中国の片隅で出来たウイルスが世界中に広まったように街の片隅の小さなことがゆっくりと世界中に広まっていく。
不安と恐れと哀しみのパンデミック。