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ちゃちなブルジョワのbirichinaのレビュー・感想・評価

ちゃちなブルジョワ(1977年製作の映画)
4.5
「Un borghese piccolo piccolo」という原題の意味は、プチプチブルジョワ。ブラックユーモアがすごい!

(*ここから内容に触れています)
主人公は定年間近のサラリーマン。楽しみは一人息子の成長と釣り。湖(川かも)の側に小さな釣り小屋を持つほどの釣りマニア。大学卒業を控えた息子の就職を頼むために上司に媚びへつらうのも厭わない。上司が信仰しているいかがわしい宗教の集会にも付き合う。ところが、ギャング売った銃弾の流れ弾が当たり、息子が即死。そこから小市民の父親は復讐の鬼に豹変していく。

前半のブラックユーモアたっぷりのシーンの数々(釣った魚をメッタ殺しにする、フケ性の上司が頭を掻きむしって大粒のフケが飛び散る)は気持ち悪いながらも笑えるが、後半は残忍に走り過ぎて(息子の射殺、釣り小屋での陰湿な復讐など)観ていてツラい。でも、悲劇をブラックユーモアで包んで描くところが、M・モニチェッリの”らしさ”で、彼の作品の中で傑作の部類に入ると思った。A・ソルディが主役とはいえここまで残忍な男を演じるのも初めて見た。
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