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スイングライドのbirichinaのレビュー・感想・評価

スイングライド(2022年製作の映画)
4.0
主人公の女の子と母親の関係が「This is us」の母娘と似ていると思った。女の子の雰囲気も高校生時代のケイト役の子に似ていた。
原題のCalcinculoはイタリアの遊園地にある乗り物で、Calci(Calciare)はサッカーのcalcioでもお馴染みの動詞「蹴る」+Culo「ケツ」(尻のやや下品な言い方)の造語。後ろの席人が前の人の席を蹴っ飛ばせるという日本の遊園地では考えられない危ない乗り物。劣等感ばかり感じている主人公のケツを後ろから蹴っ飛ばしてくれるのがトランスの若者。2人がcalcinculoに乗るシーンは、まさに物語を象徴している。若者に後ろから押されて彼女は今までと違う場所へ飛び込む。ブランコで遠心力があるから、どんな方向に行くか分からない。平凡な毎日がスリルのある日々に代わっていくにつれ主人公の表情が生き生きしていくのが、演技とは思えないほど自然でよかった。

トランスの若者役アンドレア・カルペンツァーノは頑張っていたけど、本物のトランスやゲイの話し方とはやっぱり違った、話し方が男だった。日本語の場合「~よ」「~なの」「~だわ」と女言葉があるけれど、イタリア語にはないので演じるのは難しいと思う。でも、寂しがり屋の雰囲気はよく出ていた。

演出面でもう少しだと思ったところ
●主人公が冷蔵庫から鶏ムネ肉(ササミ?)を出して食べるシーン、生で食べるなら(そもそも危険だけど)味はしなくてまずいはず、塩を振るとか、もう少し想像力を働かせてほしかった。
●主人公が女友達に「ラリった」と言っているシーン、何が原因でラリったのか分からず唐突感があった。トランスの若者にキスされた時に唇に何か粉がついていたとか?
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