このレビューはネタバレを含みます
動物的な、本能的な愛としかいいようがなく、あれを真似することは現代人には破滅的すぎるし退廃的すぎてハードルがあまりにも高い。
とはいえ、アレックスとミシェルを見ていると、ぼくたちが愛と名付け育んでいる行為がいかにファッション的で気取っているだけで、内実その愛と呼んでいるものが幻想であり希薄であるのを思い知った。
とくにアレックスは、愛のためにこそ生きる。
ぼくらがそれを見てとても同じようにできないと感じるのは、アレックスと違って、ぼくらには健康で長生きしたいだとか社会的でありたいとか、そういった愛とは別の欲にまみれているからだし、そのくせ口では「本当の愛とはなんだろう」とか言ったりするわけだから、なにもかも虚無に感じるのだろう。
愛は清潔ではない。
愛は恐ろしい。
愛は傷つける。
愛は疲れる。
愛は重たすぎる。
どれも真実だと思うが、現代人はその前提だけですでにそうすることを躊躇するのではないか。
ミシェルは
「それでも愛なしでは生きられない」
と思うに至ったのではないか。
この映画をみてそんなことを考えた。