MasaichiYaguchi

プラネタリウムのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

プラネタリウム(2016年製作の映画)
2.6
本作のポスターやチラシから受けるお洒落な印象からガーリーな映画かなと思ってしまうが、実際に観ると中身はかなり違う。
ナタリー・ポートマンと、ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディを両親に持つリリー=ローズ・デップが性格の異なる美人姉妹を演じ、劇中で夫々当時のファッションを美しく着こなしていて目の保養になるが、本作のモチーフがスピリチュアルという見えない世界ということもあって、作品そのものが捉え辛いものになっている。
ストーリー自体は難解ではないのだが、実在したスピチュアリストのフォックス三姉妹と、同じく実在したフランスの伝説の映画プロデューサー、ベルナール・ナタンをモデルにして、本来結び付きのない人物達を物語の主要人物としたことによって話が膨らみ過ぎてしまったと思う。
1930年代後半の第二次世界大戦前の時代を舞台に、アメリカから降霊術ショーのツアーでパリを訪れたローラとケイトの姉妹が、大手映画会社のプロデューサーのコルベンと出会ったことによる波乱万丈な日々を描く本作は、その展開の中で姉妹の絆や葛藤、コルベンと彼女らの関係、人々に共同幻想を起こさせる降霊術と映画の共通性、第二次世界大戦勃発前の時代の空気、これら映画に取り込まれた要素の中で何を一番に描きたいのか、余りにも作品が総花的過ぎて見えてこない。
そして押しなべて作品のテンポが単調でメリハリがなく、途中で寝てしまったという観客の声も聞いた。
キャストも題材も決して魅力不足ではないだけに、内容を整理してポイントを絞った方が良いように感じた。