荻昌弘の映画評論

偽れる結婚の荻昌弘の映画評論のネタバレレビュー・内容・結末

偽れる結婚(1948年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 ジェントルマンの典型とでも言いたげな誠実廉直な正義派医師の一代記を、山もなく谷もなく「一本調子」とはこのための言葉かと思われるような描き方で語るという、芸も曲もないこの作品こそ英国映画のある典型で、うまく行けば「大いなる遺産」、下手をすれば「悪魔と寵児」になる境目。幸い主人公のシンセリティが文句の言いようなく完全なのと、デニスンの清涼な持味が真面目一方の演出で否応なしににじみ出たため倫理的感銘こそ疑い得ないが、いくら好感がもてるにしてもこんな脚本で退屈しない方があったらお目にかかりたい。
『映画評論 7(2)』