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「捨てがたい小佳品」といった形容をまるで絵に描いたみたいな映画である。秀作と呼ぶにはちょっとクギが抜けたようなユルさがあるが、見た印象がひどく純で甘くて好ましいのだ。潔癖な大学生や高校生なんかに大受>>続きを読む
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いまの世界に、これほど激しい悪意の毒をもった諷刺映画が考えられるだろうか。気狂いになった大将が、自分勝手に報復と称して水爆を飛ばしてしまう。大統領もそれをとめる手段がなく、肝心の呼戻し暗号も、機械が>>続きを読む
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フランスから来日した批評家のジョルジュ・サドゥール氏と世界の新監督について話したとき、私は「トニー・リチャードスン監督の『トム・ジョーンズ』をどう思うか」と尋ねた。氏の答えはこうだった。「非常に立派>>続きを読む
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向う(アメリカ)の批評家には、えらく評判のいい作品である。私は、それほどの傑作とも考えない。
ただ、最近のハリウッド映画としては、新鮮な題材と、オーソドックスな芸術家気質でひたすら、「人間」を描こ>>続きを読む
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アメリカ映画に珍しく、冷やかな感触と“からい”後味をもった黒白映画である。人生の恥しさを知りそめた十六才のドイツ少女が、米兵たちに犯される。
先ず肝心なのは、このない被害者のショックを鎮め、心と身>>続きを読む
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今春の70ミリ映画は、すべての人の注目を、「ウェスト・サイド物語」一本に集中させてしまった観がある。その大騒動のかげでこの「戦場」などはかなり不当な“割りを食ってる”ようだ。もっとも「ウェスト・サイ>>続きを読む
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傑作である。いや、傑作というだけでは足りない。これは重大な映画である。私はフェッリーニの「甘い生活」に接したときも、ついに映画はここまで正確に現代を表現する能力を得たのかと驚嘆したが、それと同じ時期>>続きを読む
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開巻、ナタリー・ウッドとウォーレン・ビーティの激しいネッキングの大写しからはじまって、この作品は、純潔であろうとした青春の悲劇と、立ち直りを、全篇ぴたっと見すえている。この揺るぎない主題の見通し方は>>続きを読む
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これまでの記録映画は、リポートだった。どんなに驚くべき対象をみつめても、作者は、事実だけを記録して自分の驚きは記録しようとしなかった。それだから“記録”映画と呼べるのだ、と誰もが信じ誰もが疑わなかっ>>続きを読む
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お古いお客さんは、何とおっしゃろうと勝手である。少くとも、お若いお客さんだけはコワバった古くさい見方で、このジャン・リュック。勝手にしやがれ・ゴダール君の新作をば、タナ上げしてしまってはいけない。>>続きを読む
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MGMの「花嫁の父」は、一旦オクラになると伝えられていたが、嬉しいかな、いよいよ公開が決定した。色彩豪華作品も結構だが、そういつもビフテキばかりは食えるものではなし、タマにはこういう塩鮭でお茶漬けと>>続きを読む
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ーーさてその中の値打ちは、「チャップリンの殺人狂時代」であろう。ここに出て来るチャップリンは、おなじみの山高帽も冠っていなければ、ドタ靴もはいていない。そして、いつものように女にフラれるみじめなフェ>>続きを読む
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「情婦マノン」が、伝説的古典を額縁にしたアプレゲエル風俗のパノラマであったように、これもシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」のパロディ(替え歌)である。
但しこれは、一応現代の衣装を着せてはい>>続きを読む
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「犯罪河岸」「マノン」のH・G・クルウゾが、戦時中ドイツの命令で作られた作品だが、出来上りがナチのお気に召さず、職後まで上映禁止を食っていたという曰くがついている。
小さな村で、誰が書いたとも判ら>>続きを読む
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五十男が人魚をつり上げて、彼女(?)と恋をするというお話。秀抜すぎる位の着想だし、シナリオを書いたのが洒落っ気ではヒケをとらないナナリイ・ジョンスンだし、本国の評判は大したものだったしするので、大い>>続きを読む
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ライタア出身のデルマア・デイヴスが、いかにも、頭でデッチあげました、といいたげなスリリング・メロドラマを作った。
一人称形式を使って、主役のボガアトを伏せておく手で遊んだり、ドキュメンタリ趣味をと>>続きを読む
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不出世のホオムラン王ベエブ・ルウスの伝記映画である。ベエブの生前に企画・撮影されたが、この映画の完成直前に彼は死しんでしまった。
アメリカのみならず、野球のある所彼の名はいわば神話的存在だから、彼>>続きを読む
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日本に始めて来た、シネカラアの着色映画。テクニカラアに比べ、色は単純でどきつく、且つ不安定だが、この程度の西部劇ならこれで充分、却ってナマナマしさが強調されていいくらいである。
話は、「報復はわれ>>続きを読む
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ジョオン・クロフォードが、中年女性の心理を表現するうまさというものは、彼女がアカデミイ賞をとった「ミルドレッド・ピアアス」以来定評になっている所だが日本で公開された「ユーモレスク」や「哀しみの恋」で>>続きを読む
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当節おさかんのワンワン・ショウの一つ。週給五百ドルのシェパアド、ラスティ君が、ちと足りない飼主共のために苦労されるお話である。
五百ドルの偉容を誇示するためとあって、まわりの人間を全部オッチョコチ>>続きを読む
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「三流」のウェスタンだてんで、却って大いに期待をソソられたが、俗は俗でも凡俗とはがっかり、“まだ生きていた”リチャアド・ディクス氏、クモの巣を払っての御渡来だが、買えませんね。スのとおった七色唐辛子>>続きを読む
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十年間、ロオド・シリイズも変って来たもんですなあ。これやっぱし第一回だけあってどこかエンリョしてますワ、ねえ、魚が出て来てもシャべらないときやがる。ガッカリ。楽屋落ちのないロオドものなんて、馬が出な>>続きを読む
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先ず邦題にダマされた方の多かったであろうこと、御同情申上げる。暗黒街など一向に出ず、いつものデンでアラン・ラッドが、眉を寄せ、唇一文字に閉じて、猫歩きを繰返すノミとあっては、キョトンともしましょうヨ>>続きを読む
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傑作というには少しヌルいマルクスだが、何はともあれ三九年の作品、先頃の「捕物帖」に戦争の匂いがこびりついていたのなどと比較すれば、段違いに天下泰平、本格的である。だいいちグルウチョの歩き方からして違>>続きを読む
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また馬ナリキ。小生書きながらも「嵐の園」と混同を起しそうだが、ハッキリしてるのはこちらは馬が主役だということ。少くとも人間共より馬の方がお上手に芝居をなさった。実際この馬のウマいこと、邦画あたりでも>>続きを読む
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「腰抜け二挺拳銃」ではまがうことなき「腰抜け」であったが、それだからといってこれから先何でもかでも「腰抜け」がタッツクでは、ボブ・ホオプ先生もちよっとやりきれまい。これなど、「腰抜け顔役」とは、どう>>続きを読む
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君、天然色映画好きだろ、西部劇も好きだね?よし、じゃ見て来たまえ。それから君「サム・サンデイ・モオニング」ってヒット・ソング覚えているかい?アレクシス・スミスがきれいに歌うよ。懐しい?ますますよろし>>続きを読む
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今のファンにはお馴染みもなかろうが(というのはお偉い方の常套語だよ)、この写真遥か昔は一九二四年のJ・クルウズ作品「活動のマートン」の再映画化。小生若輩にして二つを比較出来ないのは遺憾のキワミだが、>>続きを読む
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「海賊バラクーダ」と同工異曲の海洋劇、但しあらゆるファクタアでこちらは一まわりずつ立ちまさっている。バラクーダ氏も日本では先に出たおかげでケチョンケチョン叩かれずにすんだわけだ。
先ずおハナシが、>>続きを読む
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「緑に誓う」色彩版でアルカと脅威を感じていたが、多少「赤い家」色彩版みたいな味もあって案外に悪くなし。ロン・マカリスタアと初見参のジュウン・ヘイヴア(ちょっと手のとどきそうな所が絶妙ですな。但し歌わ>>続きを読む
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大西洋上で船を撃沈され、ボオトで波間に漂っている英国船員の一団と、ニュウヨオクから本国に向う英国船とをカット・バックして、この二つが落合う所へUボオトの出現というクライマックスを持って来た海のドキュ>>続きを読む
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軍医で出征されたクラアク・ゲイブル少佐が看護婦のラナ・タアナア中尉とあぶなくなるお話。残念なことに、少佐は故国に小っちゃくて可愛らしいアン・バクスタア夫人を残して来られたので、マサカ今更離婚という訳>>続きを読む
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久方振りに本場ものの快味を満喫できる、近来出色のウェスタン。悪のしおさめにと列車強盗を敢行した無法者と、混血娘とのはかなくも凄絶なクライム・ダズント・ペイ物語、話だけでも懐かしいやな。
コロラドの>>続きを読む
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D級 (イヤハヤ流石にこれでは)
サアサ、御用とお急ぎのない方だけゆっくりと御覧なさい。だァがお立合い、天邪鬼と批評家は御免だよ。未熟な活動渡世は致しても、手前憚りながら天下の芸術家、多年得意と致す>>続きを読む
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D級 (イヤハヤ流石にこれでは)
何のこたあねえ、誰が見たって最初のシインから犯人は判っちゃうのに、唯皆で右往左往してるだけの話じゃねえか。氷詰のハダカを見ようと最後まで座ってて損したって?ザマあ見>>続きを読む
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D級 (イヤハヤ流石にこれでは)
殺人事件が突発するまで見てられたら我慢強い方である。ラストまで席を立つ気が起らなかったら、一度専門家の診断を受けられた方がおタメであろう。芸もないコメディリリイフを>>続きを読む