汽笛の音で目を覚ます

空軍力の勝利の汽笛の音で目を覚ますのレビュー・感想・評価

空軍力の勝利(1943年製作の映画)
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ディズニーが作った戦争のプロパガンダ映画。あくまで教養として、ディズニーの歴史を知っておこうと鑑賞。

前半から中盤にかけては淡々と戦闘機の歴史、戦争における空軍の重要性が語られる。そして後半はどうやれば効率的に日本を倒せるかといった内容に繋がる。

戦争を扱った作品であることは間違いないが、残酷な描写は全くない。戦闘機を撃ち落としたり、ミサイルを投下する描写はたくさんあるが、死者の存在は不自然なほどに省かれている。悲劇的に描かれるどころか、敵の命を奪うことを讃えているような感じすら覚えるのは、きっと気のせいではない。おそらく、愛国心を刺激するためにあえてそういうふうに作っている。

そして、この映画が公開された2年後に広島と長崎に原爆が投下された。この事実を考えると、この作品が日本にもたらした影響は大きい。

ただ、これをどう捉えるかは人による。怒りしか湧いてこない人がいてもおかしくない。一方で、現代社会において戦争を実際に経験した人は、もはやほぼいないはずだ。だからこそ、昔よりも客観的に戦争というものを捉えることができる人は多いだろう。もちろん気分がいいものではないが、この作品はある種の戦争の本質が詰まった作品であり、戦争とは何なのかを深く考えることができる。

最後に、大事なことなので言っておく。これはあくまで戦争のプロパガンダのために作られたアメリカの映画で、戦争を肯定する理由なんて1つもないし、あってはならない。それが分かっている人であれば見ておく価値はあると思う。