是枝監督の「そして父になる」と共通項の多い作品ではありますが、とても興味深く、惹き込まれていくドラマでした。
本木雅弘が演じる主人公は、プライドが高く、情というものを持たない冷たい男で、妻を失っても悲しみの感情が素直に出てこない。もうなんか、自分に似ていてしんどいです。同じ立場に置かれたら、自分も同じ態度をとりそうで嫌でしたね。
そんな主人公とは対照的な、感情を素直に爆発させる粗野な男（竹原ピストル）を配置させることで、主人公の異様さが際立っていきます。
母親を失った子どもたちと生活をともにする場面は幸福感が感じられて微笑ましく、それをを通して、彼は妻の死との向き合い方を考え直していく。もちろん簡単に変わるわけではないですが、少なくとも彼は生き直す機会を得たわけです。
BS松竹東急「よる8銀座シネマ」にて。
