贋作をつくり続ける男の目的とは
根底にあるのはどうも幼少期の親へのコンプレックスのようなものか
神は自分の個性を発揮しなさいというじゃないか。模写が得意だから模写をする。
面白いのは、それを追う元刑事(?)との関係。
ひたすらに絵画と向き合い、それを模写し、美術館の学芸員すらも騙し切ってしまうほどの贋作をつくる彼と、それを執拗に追い続ける元刑事との対比。
追うものと追われるものでありながら、その対象(かたや美術品であり、かたやその贋作者)に対しての真っ直ぐな目線という部分で共通している、という構成。
「この世にオリジナルなど存在しない。全ては元ネタがあり、ルーツがある(大意)」と言い放つ彼にとって、芸術になんの価値も見出していない、が逆に誰よりも芸術について真実の近くにいる。そんな気がする。
終盤かれの個展が開かれ多くの学生や芸術家風の人、美術館の館長らと顔を合わせながら、その誰一人として絵画について彼と深く話すことができない。
唯一彼を追う元刑事とだけは、何かしら通じるものがあったのだろうか。
邦題はちょっとセンスない。
原題の ART and CRAFT
が今作を物語っている。