影屋れい

13時間 ベンガジの秘密の兵士の影屋れいのレビュー・感想・評価

3.5
『13時間 ベンガジの秘密の兵士』。
2012年に起きたシリア、アメリカ在外公館襲撃事件を基にした作品。実話故に辛く哀しい。
当時のシリアの背景はここでは省くとしてこの悲劇が起きた原因はアメリカで作成された一本の映画『イノセント・オブ・ムスリム』とされている。

この映画は劇中のニュース、バックグラウンドの話題として流れている。気が付かなければ聞き流してしまうかも知れない。(特に吹替版では)それほど些末な情報だ。実際この映画はアメリカでは対して話題にもならなかった。だがインターネット、情報が発達した今の世では話は別だ。イスラム…とりわけ、指導者を冒涜した内容となれば…想像に難くない。
日本でさえ、公の場では《スポーツと政治と宗教の話はするな》と言われるくらいである。それを情報社会で映画にしてしまったら…何とは言わないが過去の作品でも騒動になったのに…恐ろしい事だ。

結果、この作品で描かれた悲劇が起きてしまった。
お互いに大事なものを失う。これ以上の悲劇は無いだろう。

信じられないことだが、原因は前述したように一本の映画なのだ。
一本の映画で《名誉は死より重きもの》となり惨劇は起きた。ひょっとしたら世界が滅びる原因はこういった映画なのかも知れない…そんな思いが頭をよぎった。
いやいや、そんな馬鹿な事があるものか、と強く願う。
世がまだまだ表向きは平和であるうちに。
影屋れい

影屋れい