猫脳髄

フライトメア 恐怖! 人喰い女達の晩餐の猫脳髄のレビュー・感想・評価

3.4
ピート・ウォーカーが前作「拷問の魔人館」(1974)の守りっぷりに自分で嫌になったのか、あこがれの「悪魔のいけにえ」(同)に近づこうと、ショックとゴア表現を増量してみたという、英国産スラッシャー(と呼んでも差し支えないレベルにはなってきた)映画。

前作で見出した怪女優シーラ・キース(出演履歴がウォーカー作品しか見当たらない)を主役級に据え、何とカニバル癖のある老婆を演じさせた。殺人と人肉食の咎で精神科病院にブチ込まれていたキースが、シャバに出てきて再び獲物を漁り始める。妻の行動に苦悩する夫と、その娘である姉妹の葛藤をメインテーマに据え、加害者一家が内紛・分裂するという前作からのモティーフを推し進めた格好である。

最初は夫に泣きを入れていたシーラも、カニバル親子鷹となった下の娘とタッグを組んでからイケドンで殺戮に着手する。頼りない夫(夫権の失墜というのはいかにも英国的テーマである)は母娘の言いなりで、自らの連れ子(ここがポイント)である上の娘の説得にも応じない。ここぞの盛り上がりでのエンディングも計算されている。構成も前作から飛躍的に向上しており、こなれたゴア表現と合わせて洗練された。これぞ英国スラッシャーの始祖と呼ぶにふさわしかろう。

惜しまれるのはシーラの得物電動ドリルの登場が1回コッキリのところ。まぁインパクトの割に使いにくそうではある。
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