MasaichiYaguchi

レディ・プレイヤー1のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
4.3
近未来の電脳空間を舞台に若者たちの冒険を描くスティーブン・スピルバーグ監督最新作は、イマジネーションが大きな翼を広げて飛翔しているような、おもちゃ箱を引っ繰り返して少年時代に戻ったような楽しさやワクワク感に溢れている。
本作のモチーフであるVRゲームは、ハードの充実だけでなく対応ソフトが増えたり、またハードを持っていなくても、VRゲームセンターがあちこちに出来て身近で手軽な存在になりつつある。
そんな現在の状況を見据えて構築された本作の近未来像は、必ずしも絵空事ではないと思う。
映画で描かれるの近未来の現実世界は今よりも格差が拡大してディストピアの様相を呈していて、人々は現実の厳しさや辛さを忘れる為に、正に名前そのままに「オアシス」というVRゲーム空間に入り浸っている。
本作では、このVRゲーム空間を作り出した創設者ジェームズ・ハリデーの死去に伴う遺言によって様々な人々の思惑が入り乱れ、ゲーム内にある「宝」を巡る争奪戦が繰り広げられていく。
この争奪戦そのものは、我々が慣れ親しんだゲームをスケールアップしたような感じで、恰も我々も登場人物と共にプレイしているような気分になる。
そして登場するゲームには、ステーブン・スピルバーグが監督や製作者として携わった映画のキャラクターやガジェットをはじめ、様々な映画の有名キャラクターが登場する。
特に終盤に登場する余りにも有名な日本のキャラクターたちによる戦いは、観ていて思わず燃えてくる。
更に我々年代がリアルタイムで聴いていた80年代のヒット曲の数々が映画をポップに彩っていて胸躍る。
この主人公をはじめとした5人の若者たちの電脳空間での奮闘は、やがて現実世界にリンクして反映されていくのだが、本作はVRゲームという架空な空間での5人の共闘を通して、彼らの友情と成長を描く青春物でもあると思う。