石

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングルの石のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 『ジュマンジ』と『ザスーラ』を小さい頃なんかの洋画劇場で何度も見た覚えがあって、一番最初の奴は結構ギョッとする内容だったような曖昧な記憶。今作もギョッとするような展開もありつつ、すごく楽しく見れた。

 ジュマンジってもともとボードゲームだったけれども、今更埃被ったボードゲームで遊ぶ人がいない。じゃあテレビゲームになろう!という展開が序盤に入るが、なんでボードゲームにそんな力があるのかとかそういう説明は一切ない。そういうの挟む前に勢いよく次の展開に進み始める。わかりやすく「細けぇ説明しねえよ、考えてねえから」と訴えかけてくる。だから観る側も「よしよしそういうスタンスか」と気軽に観れる。わりとそういう映画って必要。

 劇中所せましと冴えわたるギャグが配置されてている。ロック様の臆病でナヨナヨした演技はどんな場面でも笑える。
 また、ジャック・ブラック(ベサニー役)の些細なJK演技が冴えわたる。「なぜかわからないけれど、僕の中に女の子になるスイッチがあるんだよ」と地味に凄い事を言うが、マディソン・アイスマン(高校生ベサニー役)へ”現代女子”について質問攻めにしたそう。その役者魂には感服するし、劇中はまごうことなきJKだった。腰の振り方から御髪をかき上げる仕草、ときめく顔まで完璧にJK。48の親父がJK。役者ってすごい。
 監督ジェイク・カスダンの過去作を見るにコメディ色強めの人のよう。「自由にコメディの演技をさせた」と語っているようだが、今作は元が良いからこその面白さなのだと思う。間の取り方やテンポが絶妙で笑いを誘う。アレックス(ニック・ジョナス)が20年もジュマンジの中に居た事実が発覚して少し湿っぽくなってたのに、次のシーンではマーサ(カレン・ギラン)がブリンブリン腰振りながらぎこちなく色仕掛けしてるっていう。間髪入れずギャグねじ込むこのセンス好き。
 NCPが延々同じことを話すとか、そういうゲームを俯瞰した要素を含んだギャグもちょいちょい挟まってて好き。「ちんちんインスタに載せたい!」っていうのも男女入れ変わりモノでの定番を短く下品にド直球に刺していった感じがして好き。いいムードからのド下手なキスとか。

 最後しっかり落ちがつくのも良い。アレックスに纏わる話が情報少なめで短いながらも重い話なため、そこに救いがあったことに少し潤んでしまった。他四人についても何かしら得るものがある物語で、この四人が和気藹々とする様子が微笑ましく思える。全く違う環境になることで改めて元の自分を見つめなおし自戒する。説教臭くなく、普遍的な物語だ。思ってもみない着地で、清々しい気分で映画館を後にできた。

 ボードゲームからテレビゲームに進化したジュマンジだが、次はいったい何に進化するのか、ふと疑問になった。ボードゲーム世代はまさか箱でデジタルな遊びが出来るとは思ってもみなかっただろうし、いずれは我々が想像もつかないような遊びにジュマンジが進化するのかなと思ったり。「テレビゲームなんて古いもん誰が遊ぶんだよ」とか言われながら。

 以下気になった点。

 スキルが各キャラクターに割り当てられてるが、この設定がちょっと死んでる。弱点ケーキなんてパンケーキの下りだけで早々にネタが終了してしまった。弱点スキルを打ち消せるとか、NPCにも設定されててそこを突くとか、いろいろ広げ様はあったと思う。アッと驚く伏線になり得ただろうに勿体無かったかなと。格好付けるっていう意味の無いスキルとか折角あるのに最後現実に帰ってきたときに何故やらないのか。

 スプラッターとまではいかないが、人がポンポン死ぬ上エグイ死に方する。カバに食われるし内側から爆発するし。三機あるからって命軽い。仲間がサイに轢き殺されたのに笑ってるこの人たち怖い。世にいうデスルーラ、最後の作戦でも使うとは。

 最後、もう死ぬことができない!ってなった後の作戦が「五人バラバラで突撃」ってどうです?作戦って言いますそれ?

そんな感じ。個人的には好き。
石