このレビューはネタバレを含みます
高校時代に行われたイジメの仕返し…
ではない。
これはただの自業自得だ。
変わらない腐った人間性が引き起こした当然の結果だ。身から出たサビ、あるいは因果応報だ。最終的に彼を完膚なきまでに、社会的にも、家庭においても彼を破滅に追い込んだのは、他の誰でもない、彼自身の言動だ。
つまり、嘘でありもしない出来事をでっち上げて人の評価を落として成り上がったことに対する天罰だ。
初めは高校時代、同窓生の男が同性愛者で、年長の男に性的イタズラをされたことを創作した。その後の同窓生の人生はどん底で、彼の父親は暴力沙汰を起こして未だに監獄に入り、軍に入っては不祥事を起こし、その後も犯罪を犯しながら、どん底へどん底へと沈んでいった。
そんな彼をどん底に陥れた男が近所に越してきたことで、彼の仕返しが始まる。
つまり、監視と盗聴を行い、チャンスを伺っては妻に近づく。やがて妻は身籠り、出産するが、夫は赤ん坊が自分の子どもか、かつて自分が陥れた男の子どもか分からない。
分からないという結末だ。
だが、彼には最早、子どものことも妻のことも仕事のことも関係ないのかもしれない。
なぜなら全て失ったからだ。
妻からは別れを告げられ、仕事も追われ、頼みの綱の子どもさえもよく分からなくなる。
皮肉な話だ。