ミシンそば

マグニフィセント・セブンのミシンそばのレビュー・感想・評価

マグニフィセント・セブン(2016年製作の映画)
3.9
BS12での放送で再鑑賞。
封切り時はあんまり自分のような若い衆ほとんど入っていなかったことはよく覚えている。

七人の侍、荒野の七人から見て、変えるもの(七人の構成メンバーの人種とかいろいろ)は変えて、変えないもの(すべてを捨てて戦う七人の崇高さ)は変えない。
個人的には凄く好きなリメイクである。

主人公が黒人で、メキシコ人もアジア系もコマンチの先住民までいる多人種っぷりで、七人をスカウトする女性も強い。
まさしく新時代の荒野の七人とでも言うべき仕上がり。
七人それぞれのドラマもいい。
冷静な司令塔ながら、明らかに最初から悪役に個人的な恨みを抱いているチザム、
クリプラが脂が乗りきっていた時期だけあってアクションもキャラの魅力もキレッキレなファラデー、
「荒野の七人」のリーをより魅力的に再構築したようなグッドナイト、
グッドナイトとの関係性がずっと見てられるだけでなく、史実考証的にも割りと描写が正しいビリー(ビョンホンがホークより4ヶ月年上なのは個人的に意外)、
ファラデーと「荒野の七人」のヴィン要素を共有しているようで、絡みが楽しいバスケス、
ドノフリオがこういう役を演じるのは珍しいってくらいストレートに善性(凶暴だけど)ホーン、
そして求道者的な性格のコマンチ族戦士レッド・ハーヴェスト、
昔の西部劇じゃ考えられない布陣だ。

そこに妙に堂に入った悪役振りのボーグ(ガトリング銃持ちだしてきた時の絶望感は割とすごい)と、強く決して屈しない女性のエマという、濃い七人にも負けないキャラもいっぱい出てくるため、そういう現代映画的な換骨奪胎要素も個人的に好みだ。

最後は結構死屍累々で終わるけど、悲壮感だけは漂わないのは、それでも「村人は勝った」からだろう。