つるみん

ベイビー・ドライバーのつるみんのレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
3.8
今まで音楽が印象的なアクション映画は数多く作られてきた。例を挙げるならば『キック・アス』のクロエちゃん無双シーン。『キングスマン』の教会など。タランティーノの『レザボア・ドッグス』や『パルプ・フィクション』なんかもある意味、音楽的アクション映画なのかもしれない。またこの作品の監督作である『ショーン・オブ・ザ・デッド』のパブのシーンなんかも最高に盛り上がる。しかし本作ほどオープニングからエンディングまで100%音楽とシンクロしたアクション映画はないだろう。

幼い頃に遭った交通事故の後遺症で耳鳴りが止まず、常にiPodで音楽を聴いてる主人公ベイビー。彼の聴いてる音楽が劇中のサウンドミュージックとして効果をもたらしているのだが、本作の一番の魅力はアクションシーンの音楽の使い方。カーチェイスで場面が盛り上がるのと同時にベイビーの聴いてるナンバーも激しさを見せ、車の排気音、ワイパー、カーブ、足音、銃撃音、クラッシュなどなど、全てが音楽に融合されているのだ。まさに音楽を原動力とするアクション映画がここに存在した。

しかしこの作品、エンタメ性だけでなくドラマ性もしっかり描かれていた。幼い頃の辛い出来事から現実逃避するかのようにイヤホンをつけ、サングラスをかける。外界を遮断し車の中に閉じ込めたベイビーの心はどのように変わっていくのか、ラストの表現にグッとくる。
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