湯

ベイビー・ドライバーの湯のネタバレレビュー・内容・結末

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

長文になるぜ!ヒェア!

まず113分ミュージックビデオを観るような映画だと予想してたら色んな意味で巧みな外しを喰らいました。

1.主人公ベイビーのイヤホン(音楽)の使い方が巧い。彼にとって音楽とは外界と遮断して自分の世界を形成する為に必要なもの。けれども信頼している人なら自分の身体の一部と化しているイヤホンを分け与えて共に聴いたり、踊ったり、自分の世界に入ってくる事を歓迎している(里親のジョーやデボラ)。イヤホンと音楽というアイテムを彼の心情描写に使っちゃうのが凄い。

そして一種のトリックとしても使ってた。
(もう1人楽しそうに音楽をベイビーと分かち合う描写がある人物いましたよね?あれ上手いよ...。あの時ベイビーは彼をわずかに信頼してたはず。それは映画を観る僕達も然り。あ、こいつ良い奴かもって。それが2に続きます。)

2.小刻みに予想外な展開を入れ込むのが上手い。とにかく終わり方が全く読めなかった。
バッツ怖えな!絶対会いたくない。
やべえ一触触発だ...。緊張してきた...。
あれこいつここで死んじゃうの?
まさかあんたラスボス?
逆にあんたが光堕ち?
ベイビーとデボラどうなっちゃうの?
あの人大丈夫か?!大丈夫なんだよな!?
あ、あの時の!?

もう自分の心がどんどん揺さぶられる。予告編で本編の後半ほとんど見せてないの良かったな。

3.オチが素晴らしい。
主人公ベイビーは半ば強制的とはいえ犯罪を犯してる。そんな彼にきっちり落とし前をつけさけたのはエドガー・ライト監督マジで良い。『デボラと逃亡成功!これからは華やかに暮らすぜ!キスしてエンドロールへGO!!!』ENDだったらもう台無しでしたね笑。
逮捕された時のベイビーはどことなく解放された印象がありました。映画全体の雰囲気としても、あそこは優しさに満ちてましたよね。あとベイビーの『悪事に手は染めてるけど、これだけは絶対にやりたくない。』という描写が劇中何度も挟まれていましたがその描写はベイビーの悪への精一杯の抵抗でもあり、彼自身の本質的な優しさが伝わるシーン。
そしてその数々のシーンが光るラストは慈しみに溢れてる。
どんなに心に余裕無い時でも人に優しくしとこう...。ってちょっと思ったり。

そしてデボラが待っていた...からのキス!からのエンドロール!良いよ!ちゃんと落とし前つけたからキスしてエンドロール入っても良いよ!幸せにな!!!!!

という事で長々と書きましたが、ベイビードライバー。鑑賞前と印象がかなり違った映画でしたが、観終わった後、じわじわと『かなり面白かったわ...』という感情が芽生えました。これ絶対2回目の鑑賞の方がさらに面白い気がします!
湯