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ベイビー・ドライバーのonotoramanのネタバレレビュー・内容・結末

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

バカと天才は紙一重。駄作と型破りも紙一重。
工業製品と言われるくらいストーリーの展開の仕方がマニュアル化されてるハリウッド映画。ベイビードライバーも半分まで完全にそうだった。ルークがいて、シスの暗黒卿がいて、もちろんダースベーダーもいて。でも、突然、ダースベーダーが死んだ。


前半はマニュアル通りのハリウッド映画って書いたけど、それが嫌いな訳ではない。むしろベイビードライバーの音楽を気持ちよく見せる演出を生かすためにはマニュアルを踏むのは大事だと思う。ところどころいいシーンがあるんだけどなあって映画はそのマニュアルを無視してることが多いと思うし。

ベイビードライバーのオープニングは最高だった。歌に合わせて口パクしちゃうとことか、ワイパーとか色んなもののBPMバッチリ揃ってる演出とか、音楽のテンションの変動がそのままリンクしてるカーアクションとか。イエーイサイコーってテンション上がりつつ、映画の趣旨も主人公のキャラも完璧にわかっちゃうんだもの。

で、主人公がコーヒーを買いに行くまでの長回し(すごい好き)を挟んでの、次はサブキャラ紹介。これがわかり易すぎる。ただものじゃなさそうなボス、主人公に因縁つける荒くれ、ところかまわずなイチャイチャカップル。エレベーターで全員揃ってるカットは本当に秀逸。待ち受けにしたい。そして主人公が悪事に荷担する理由もサラッと説明。借金返済まであと一回って絶対一回じゃ済まないやつだから!

そのあとも里親とのやりとりで主人公の善の部分が見えたり、お決まりのヒロインとの出会いと恋があったり、最低かつ最凶の悪役が出てきたりで前半終了。音楽にのせた演出とかキャラクターたちの濃さとかでかなり楽しいんだけど、このとき正直思っていた。ああ、このあと主人公はこの最悪の悪党と対立してヒロインを守るためになんやかんやあったあと、トラウマを乗り越えてハッピーエンドなんだろうなーって。

でも、ちょっと違和感があって。それはあのイチャイチャしてるだけのカップルの男のほうが急に輝きを放ってきたこと。唯一主人公の音楽を理解し、主人公の行動を先読みし、そして悲痛な過去が語られた。こいつはストームトルーパーではなかったのか?…と思ってたらあの悪党が死んだ。そして怒涛の後半が始まる。

ちなみにこの悪党、平気で仲間殺すやばいやつで、取引相手と突然ドンパチ始めるやばいやつで、初対面の仲間の過去をなぜか詳細まで当てちゃう本当にやばいやつだった。キャラ立ちすぎ。

それなのにそいつが死んだことで、もう物語がどうなるかわからなくなった。まじで誰が死ぬかわからなくなった。

そこからの展開は勢いに次ぐ勢い。普通なら意見を挟みたくなる展開も全部勢いでカバー笑。いろいろすごいとこがあるんだけど、なんといっても真のラスボスに躍り出たあのイチャイチャ男がすごい!なんで逃げれたの!?なんでそこにいんの!?なんで生きてんの!?っていう。かっこよくて無敵で熱い。最後の車で押し合うシーンなんて見たことないよ。あれこそ男の闘いだ!!


あー楽しかった。
絶対安全のタクシーでのほほんとスリルを楽しんでた私を、全く先の見えない本当のスリルに叩き落としてくれたベイビードライバーは見事でした!!
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