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バービーのodyssのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
1.5
【病んだアメリカが見える映画】

猛暑の日本、夏枯れであんまり見たい映画もないけれど、たまたまポイントがたまって1本タダで見られるので、軽いコメディかと思って劇場に足を運びました。

でも、これがとんでもないハズレだった。

バービー、つまり人形が人間界に入っていくことで起こる喜劇の数々を描いたのかと思いきや、これ、フェミニズムのイデオロギー映画なんですよね。

そもそも、です。バービーは人形で、女の子文化です。
だから女の子とのことしか考えていないストーリーで、きわめて単純なイデオロギーに支配されている。
つまり、女は犠牲者、男は加害者というイデオロギーです。
途中で出会う母娘の母のほうが言うセリフがその典型。女はどう転んでも被害者、というきわめて単純な図式。
これ、今のアメリカの思想状況を反映していますね。
男女の別を言うと差別主義者と難詰される。(今の日本も似ていますけどね。)

でも、よく考えてごらん。
バービーは女の子文化なんですよ。
だって、男の子は人形なんかに興味を示さないもの。
つまり、そこにちゃんと男女の性差が現れているんだね。
でも、この映画はその辺は無視。

人形文化は女の子文化だから、バービーのボーイフレンドのケンが「都合のいい男」であるのも当然。
その辺が女に分からないのは、まあしょうがないかなと思うけど、男が分からないのは、単なるバカでしょうね。

フェミニズムは男女の恋愛を嫌う。
恋愛を女が男に従属するものだと規定しているからです。
この映画でも、バービーはケンにキスすら許さない。
フェミニズムの規定では、男女は友だちでなければならないからです。
でも、ゲイでない男の子からすれば、女の子は性愛の対象であって当然。

それを否定するから、この手の映画では「母と娘」や「姉妹」の愛情を核に据えるようにできている。
この映画でも「母娘」が軸になっているでしょう?
アナ雪なんかも(実は私は未見ですけど)そう。

ともかく、そういう(悪い意味での)フェミニズム臭が芬々たる映画で、とてもじゃないけどまともに評価は出来ないなと思いました。

アメリカは病んでいますね。
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