突如として人間的情緒を開花させたバービー人形が、人生の意味を探求するべく現実世界へと旅立つ。擬人化した人形の自己実現を風刺性豊かに描いている、ファンタジー・コメディ。
バービーとケンの男女コンビが、ハッピーで彩られているピンク一色の理想郷から、喜怒哀楽が混交している現実世界へと移動。オモチャのバービーが「リベラル・フェミニズム（男性社会との対立を望まない思想）」を覚醒させるまでの道程が描かれる。
人形の立場をカルチャー・ギャップに転換させる手法が用いられており、「私たちの股間はツンツルテンなのよ」という渾身の下ネタが炸裂する。うわべだけの女性解放を主導するマテル社と現実世界から父権主義を持ち帰ったケンの描写が面白い。
端的に言うと、「バービー人形を、個性的な女性監督に預けたら、こうなっちゃいました」という作品。やりたいことは分かるけれど、食材と味付けが微妙に合っていない創作料理を出されたような印象を受ける。
