ひるるく

バービーのひるるくのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.3
You Can Be Anything(あなたは何にだってなれる)

男女など様々な事柄で分断を招くのではなく全ての人へ贈る温かなメッセージ。

女の子の夢や理想が詰まった煌びやかな話だと思っていたら、オープニングからある作品のオマージュで"定番"をぶち壊すブラックジョークには、あ〜そういった感じですかと思わず笑

勿論、ガーリーでポップな全編ピンクに彩られた女の子の"夢"の世界バービーランドも描かれるのですが、これは時代と共に様々な人種、職業、見かけ、などリアルな女性の"現実"に即してバービー人形をアップデートさせて来たマテル社だからこそ説得力がある自虐的なブラックな笑いと皮肉に富んだ作品でしたね。

男は男らしく、女は女らしくといった"極端な"ミソジニー、マッチョイズム、ルッキズム、に対する強烈なアンチテーゼだと感じました。

そう、中途半端ではなく極端に描写するので笑える事によって(痛烈な笑いが多いので人によっては不快かも)説教臭くなく、メーセージがすんなり入ってくるんですよね。

以下、ネタバレを含みます未鑑賞の方はご注意下さい!!

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本作で印象的なシーンは"美しさ"のシンボルである"定番"のバービーが実は行き過ぎたルッキズムを助長してかえって女性を生きづらくしてると非難される場面ですね、これと表裏一体でケンやマテル社のシーンの随所で描かれる、トゥーマッチなミソジニー、マッチョイズムが昨今よく話題になるトキシック・マスキュリニティといった"男らしさ"の"定番"に葛藤し生きづらさを抱える男性にも鋭い問題提起になってると思いますね。

本来は人間なんてそれこそ十人十色で"定番"なんてものは無くそれは社会規範の押し付けであって、あなた達はありのままの姿で良いのよというグレタ・ガーウィグ監督とマテル社からの素敵なメッセージ。

上記の内容にアンテナの触手が動く方には刺さりまくる本作だと思いました。

正直、バーベンハイマーのネットミーム化は行き過ぎた表現の自由だと思ってましたし、それにバービー公式が好意的なリプライをした時には日本人の私としてはお前ら○○す!と瞬間的に思うほど容認出来ませんでしたが、よくよく考えたら制作者側には今回の作品の趣旨も含めてそんな意図がある訳ないと思い直しました、作品に罪なし。

結果としては鑑賞して大正解でしたね、本作は賛否両論別れて当然ですかね…人によって毒にも薬にも成りうる、バービーでこのテンションならオッペンハイマーはどうなんだろうと?期待は高まるばかりです、来年のアカデミー賞が楽しみで仕方ないです。

追記

マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリングや演者の素晴らしさ、登場人物達のメタ発言でくすりと笑えたり(マーゴット・ロビーに言われても説得力ないわ等)、有名作品のオマージュや小ネタが仕込まれていてるのも見所ですね。
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