前髪メガネ

バービーの前髪メガネのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.6
面白いのに物語のテーマの深さに気付いた時に笑ってる場合じゃないと感じた。何この映画!!

ピンクに彩られた夢のような世界「バービーランド」。そこに暮らす住民は、皆が「バービー」であり、皆が「ケン」と呼ばれている。そんなバービーランドで、オシャレ好きなバービーは、ピュアなボーイフレンドのケンとともに、完璧でハッピーな毎日を過ごしていた。ところがある日、彼女の身体に異変が起こる。困った彼女は世界の秘密を知る変わり者のバービーに導かれ、ケンとともに人間の世界へと旅に出る。しかしロサンゼルスにたどり着いたバービーとケンは人間たちから好奇の目を向けられ、思わぬトラブルに見舞われてしまう。

バービーもリカちゃんも幼少期に持っていたし可愛い服を揃えるのも好きな子供でした。
親戚には男なのに変だなどと言われていたけど欲しいと言えば買い与えてくれた母親には改めて感謝をしたい。
あの頃があるから今でも可愛いが大好きでピンクを愛してこられたからこそ、本作を観るにあたって全身ピンクを着揃えて映画館へと足を運びました。
神宮の花火大会だったからか人も多くチラチラ見られましたけど何も思わなかった。だってピンクだらけなバービー観に行くならこれくらい当然だと思ってるし、知らない人だし。

そんなピンクに、自分らしさに従って生きてるあたしですけど、やっぱり傷つく事もあるし嫌な思いもしたりして、時にはあえて伏せたりしたりして自分が嫌になる時もありました。
でもこの作品を観たらやっぱりピンクの持つパワーやポジティブな感情に心が熱くなって可愛いとピンクが改めて好きになりましたし、見終わった時にはバービーワールドのような自分のピンクの服装が誇らしくシアターで1番ピンクだった事が嬉しくなりました。

そしてバービーの物語、ティザー映像解禁から注目していたけど徐々にその内容の深さが判明する度にどんな映画になるのだろう?めっちゃコメディっぽいけど、フェミニズム的なコメディかなと思っていたけど実際はもっと壮大なテーマで正直、全部わかったなんて言えない程。

リアルワールドもバービーランドもみんなが夢夢ハッピー世界ではなくってどちらも変化を求められているけど、どちらにも保身を求める人はいて変化に対応している人も実は無意識下で"譲歩してやってる"という根本の変わらなさだったりの皮肉がぎっしりでそういったブラックジョークだったりが逆に笑えなくてコメディなのに社会的で、そう言った意味で思っていたより笑えなかった。(めちゃくちゃ爆笑している方はいたけど)
冒頭の2001年宇宙の旅パロディは最高だった。女児に与えられがちな赤ちゃん人形での育児おままごとは確かに幼少期からの育児=女性の仕事の刷り込みの概念をぶっ壊して始まりにはテンション爆上げでした!ひゃっふー!人類歴初期からの概念破壊。ありがとう。

バービー人形が女性像のメタファーになっているのは有名なこともちゃんと踏まえた上での意見も出てるし、女性が未だに世間から置かれがちなポジションについても真っ向から向かっていく監督とマーゴットの姿勢がめちゃくちゃカッコよくて素敵でした。
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