mito

バービーのmitoのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.0
2023年88本目。
アメリカのアイコン的子供向け玩具のバービーを主人公にした作品。
バービーをマーゴット・ロビー、ボーイフレンドのケンをライアン・ゴズリングが演じる。
びっくりしたがピースメーカーことジョン・シナまでケンとして登場する。しかもとんでもないビジュアルで(笑)狂ってる。

上記2人以外にも様々な設定や人種のバービー&ケンがいてそれぞれが同じく架空の国バービーランドで過ごしている。

冒頭、何でその映画を真似しようとしたんだ?というこれまた狂ったパロディから始まる。ここは素直に笑った。

監督のグレタ・ガーウィグが描いたのは、最近の作品でも増えてきた、女性や男性の権威の社会的変化のその先。

現実では未だに男性優位の世界。
そこをバービーという存在で否定しながら、バービーの世界では主役であるバービーに対して付属品にすぎないケンという存在を使って、偏った権威により女性も男性に同じ事をしかねない世相になりつつあるという警笛も示している。
バービーランドが女性優位社会としてカウンター表現の扱いになっており、ケンの反乱も合わせ鏡として作用していたり。

非常に興味深い演出だが、まあ大分危うい橋を渡っている感はある。
特にケンの道化からカウンター的表現の権化にシフトする展開は、ケン自身は最後までコメディ寄りのキャラ故にカウンター成分が弱く感じたり、「えっ結局、男は単細胞だったり馬鹿な奴って扱いなの?」と思ってしまう人が出ても否定出来ない。
そういう意味では、某漫画家の感じ方もある程度そう感じてしまうのも違和感を感じない、というのが個人的な見解。
(まあ、あそこまで極端にフェミ寄りだ!とまで捉えるのは流石に…とは思ったが)

確かにテーマ的にも非常に男女両者の視点をしっかりケアしている部分が目立つが、コメディ故に笑いにしたところでケアに綻びが出た箇所が尽く気になってしまうのもこの作品のテーマに対する欠点…にも感じられた。

ノア・バームバック&グレタ・ガーウィグ脚本特有のゆる~い空気感とかは最高だが、反面シリアスな視点で見てしまうと色々歪さが目に付いてしまうのはちょっと勿体ないかな…。
mito

mito