れーちゃん

バービーのれーちゃんのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.8
マーゴット・ロビーは「アバウトタイム」や「ウルフ・オブ・ウォール ストリート」の時など、よくいる「美人アイコン」として起用されていた。
ちょっと気の強いところがある美人役、というイメージだったが、「スーサイド・スクワット」あたりから、ただ可愛いだけではなく表情豊かで全身全霊の演技ができる女優として確立している。

本作ではマーゴットの「美人アイコン」時代と昨今の役者魂全開な姿が、いい意味で両立していて本作のストーリーとまさに一致していた。

なにより、「旅するジーンズと16歳の夏」に出ていたアメリカ・フェレーラちゃんが、お母さん役になってあんな力強いセリフをいうだなんて、涙が出てしまった。「アグリー・ベティ」も容姿をテーマにしているし、もしそのあたりも意識して作られていたのだとしたら、グレタ監督のキャスティングは1億点といえる。

バービーランドに住む人々はみんなバービー、みんなケン。(+1人だけアラン笑)
バービーランドではほとんどがバービー(=女性) なので、女性中心の社会が確立されている。
そこに暮らすケンたちは、バービーの引き立て役として存在しているため、ある種アイコンとして存在している世界だ。

ある時マーゴット・ロビー演じるノーマルバービーの心に「死」という言葉がよぎり、思想や身体が人間に寄っていてしまう。
原因は自分の持ち主が「死」を意識したり考えたことによるものだと知り、バービーである自分を取り戻すため、バービーとケン(ライアン・ゴズリング)は人間の世界へ行く。

人間の世界に辿り着いた2人はそれぞれ自分たちの世界とは真逆の思想であることを知る。
男性は、リーダーは男。強くあるべきという考えを持つものが多く、バービーを作るマテル社の上層部ですら全員男性。
女性は性の象徴、アイコンというイメージを持った人々も多い。

女性はこうあるべきだなんて古い!という考えを持つ現代のフェミニストたちの意見。

様々な刺激を受けるバービーとケン。
バービーランドに戻ったケンは、人間界で「男性はこうあるべきだ」という像に憧れ、バービーランドを「ケンダムランド」にしてしまう。

この作品を「男性を馬鹿にしている!」と罵る男性や、「フェミニズム映画だ!」と捉える女性は、この作品の本当の意味を理解していないと私は捉える。

グレタ監督は「いくらフェミニズムって言ったって、"女性中心の社会" っていうのも違うのではない?」というメッセージを込めてこの作品を作っていたように思ったからだ。

でなければ、ケンを撲滅してバービーだけが盛り上がって終わるような話になっているであろう。
しかし、最後には男性とか女性とか関係なく、「あなたはケンでしょ!」というバービーからの強いメッセージがあった。

これは、性別とか立場とか、そういう概念って関係なく、みんな自分らしく生きようよ!というポジティブメッセージではないだろうか。
それこそが、性別もステータスも肌の色も関係ない「平等」であり、本当の意味で人権を尊重することなのではないかと。

ラストのシーンについて物議を醸していたが、それに関しても私は「ただのジョーク」だと思っていた。
監督ですら、インタビュー記事にそのように答えていたのだから。
強いて言えば、「バービーは自分で性を選んだのよ」っていう表しではあると思う。

監督の「Barbie」に関する知識ネタと昔、人形遊びをしたことがある人なら誰しもがわかるあるあるネタの使い方がものすごく良くて、特に女子の共感を得まくるシーンが散りばめられていたのも良かった。

「ヘンテコバービー」私も良く作ってしまってたな。ちょっと気に入らない人形の髪をカットしたり、開脚させたままほったらかしていたり笑
こういう「人形あるある」を知らない人々は、少々置いてきぼりになってしまうような人もいたかもしれないが、そこはご愛嬌ということで。

曲も良く、世界観も最高で、とにかく爆笑しました。観れてよかったー!
れーちゃん

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