日々こんな仕打ちを受け、
気を落とす間もなく
襲い来る女性として求められる理想像に縛り付けられ
それも仕方がないことだと諦め
被害が最小限に抑えられるよう
微笑して嗜めたり
誤魔化してその場を納めようとする。
男性社会が生み出す諦観の構造…
と俯瞰で見ていた自分が本作の中にいた。
性差というだけで
男性が産み落とす負の卵は
女性(他のマイノリティも併せ)の
あらゆる気を削ぎ落とす悪臭を放つ。
単純で伝播しやすいマチズモの感染は
男性同士で接触し合うことで互いに菌を交換する
永久機関と化している。
『ゼイリブ』さながらに
男性性を可視化するサングラスを装着した私は
コメディとして昇華された一つ一つのやり取りが
全く笑えなかった。
他の観客は女性がよく笑っていたような気がする。
諦めて笑うことでしか消化できない
クソみたいな出来事が
女性にとって当然のように現実に起こりうる
クソな社会をやっとまともに見ることができた。
ショックの方がでかい作品。
高説を垂れるようなシーンがすこぶる多いが
それくらいはっきり言わないと
お前らは気づけないだろう？
印象に残さないだろう？
と胸ぐらを掴んで
何度も頬を叩かれているような気分になる。
役者は全員最高によかった。
やっぱりケイトマッキノン大好き。
