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バービーのhonestakiのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.4
アカデミー賞でも話題になっているので『バービー』を観た。

それほど期待していなかったけれど、楽しく、興味深く鑑賞。
直球の社会風刺なのに、辛辣な笑いではなくfunnyな可愛らしく笑えるセンスが素敵。
ステレオタイプな女性像のバービーよりも、実は現代女性の強い共感を誘うのはバービーで遊んで育ったちょうど今現在母親業を担うグロリアの方ではないだろうか。実際に後半はグロリアの叫びが主軸になっていた。
(※おそらく、ルッキズムが日本よりも米国の方が強いのかもしれない)
マーゴット・ロビーの演技はとても良かった。
だけど、アカデミー賞にノミネートされなかったのはきっと、この多様性の時代に“typical Barbie”が観客の代弁者となるには弱かったから。
“typical Barbie”のアイデンティティが性(性器)に結びつくような、セックスへの憧れだったり、グロリアを通して見えた母親への羨望が後半の主軸になっていたら、ラストにもっと説得力が出たのではないかと思う。

女性至上主義の作品かと思いきや、“I‘m just Ken”がこの作品のテーマそのものではないかと。
完璧な外見なのに、添え物でしかない存在。しかも中身がないことは自分自身が一番よく解っている。だから、苦しい。
きっとモラトリアムを過ごした者なら、共感できる叫び(雄叫び?!)だろう。

10年前なら“2番手ケン“は黒人俳優だったかも知れないけれど、アジア系俳優のキャスティングは嬉しかった。
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