全世界で大ヒットなんですよね。
新しい価値観？多様性？といったテーマを、アメリカの人形玩具“バービー”を通して問いていくコメディ。
バービー人形の世界で暮らす、様々なバービーたち。
マーゴッド・ロビー演じる定番のバービーは、ある日言いようのない不安に苛まれるようになり、不安を解消するためにバービーの世界と人間世界の壁が破れたところを通って、ボーイフレンド人形のケンとともに人間界にやってくる・・・
で、私の感想なのですが、女性の自立を目指した自分探しの旅なんて、新しい価値観どころか、とても古臭く感じました。
描かれている男性らしさ、女性らしさのそれぞれの象徴がステレオタイプで見続けるのがつらくなるほどベタ。
安っぽいダンスシーンを交えたミュージカル調で進んでいく物語に既視感があるなあとよく考えたら、まるで『オズの魔法使い』じゃないか。
ファンタジー溢れる人形世界を表現するのに、映像はピンクが基本。そのピンクが安っぽい。
昨今、流行りのように討論されるテーマであるLGBTQをぐっと砕けた感じで観客に提示しようとする意気込みはわかるのですが、どうも幼稚な感じがつきまとう。
本作がオスカーの本命とされているなんて、文化としての映画芸術は退化しているのではないかとまで考えてしまいます。
どうも最近のデジタルを駆使した作品には温かみがなく、アニメーションと変わらない感じを受けてしまうのは、私の感覚がもう今の流行についていけなくなっているのかなと感じたり。
でも、先人の偉大な映画作家に敬意を表したオープニングシーンをはじめとした、数か所の場面は微笑ましく鑑賞させていただきました。
