お笑い芸人のバービーさんは自身の芸名を考えるに辺り、海外の友人たちに「一番ダサいと思う名前ってなに?」と聞き、その返答を採用したらしい。
時代錯誤の虚像の女性像。それが『バービー』。
女は男に嫌われている。女は女にも嫌われている。
劇中こんなセリフがあり、ハッと思い出した。周囲の目を気にして、気にせずにはいられなくて精神的に不安定になる現象。
学生時代、当時の彼女に素朴な疑問としてふと、「なんでそんなに不安なるん?」と聞いたことがある。明確な答えは返ってこなかった記憶だが、女性と接していると度々そんなふうに感じることがある。
『SHE SAID』でも語られていた、女性として生きることに対する不安、心配、鬱、絶望感。それを募らせてしまっているのは、幼少期から否応なしに彼女たちへ感じさせている、男性主体の社会•男性の無自覚の加害性なのかもしれない。
己れを省みても、無自覚の加害性を至るところへ散布してると思う。うーん、生きるって難しい。
発売中止になったシュガーダディとは、援交親父を製品化したものだそう。
笑えないノリをやってしまうマテル社。そしてそんなマテル社を扱っている本作もまた、バーベンハイマー騒動を起こしてしまい、図らずとも無自覚の加害性とその安易さ•危うさを体現した。
意識の問題と言うのは簡単だが、無自覚の加害性を防ぐことの難しさを大いに感じる。なにせ無自覚なのだから。
だが、そんなクソ真面目に考えるのは今作の本懐ではなく、エッジの効いた皮肉に大笑いするのがきっと映画の楽しみ方として正解なんだけど、笑いにおいて言語の壁は高い。
コメディ映画の字幕観賞ってむずいなと『テッド』ぶりに改めて感じた。もっと愉しんで観たかったよー。
なんやかんやゆーて、最後はケンはケン、バービーはバービー、赤木は赤木というビックジュン魚住論に帰結。