きゅうげん

アイリッシュマンのきゅうげんのネタバレレビュー・内容・結末

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

マフィア伝記映画の神様スコセッシですが、本作は『グッドフェローズ』『カジノ』に負けず劣らずの大傑作です。
オールタイムベスト・オブ・スコセッシ更新レベルかも……!!!

マフィアものとしてはもちろん、政治陰謀劇としても家庭崩壊ドラマとしても申し分ない内容です。
とくに表彰パーティは素晴らしく、なごやかな饗宴から一転して不和・緊張、そして破滅的な悲劇へと向かう様子は、筆舌に尽くしがたいものがあります。
そしてやっぱデ・ニーロの演技! 
ときどき見せるあの笑顔に「イヤいつもと一緒じゃん!」とコケるのですが、ホッファ暗殺前後のあの悲壮感ある演技の壮絶さは途轍もないですね。

そして本作が一線を画すのは、まさしく主人公の一代記として描いたところ。
スコセッシのマフィア映画はおおよそ主人公の半生の追体験ですが、大抵が人生という観点からすれば「途中から始まり途中で終わる」内容である一方で、本作はおじいちゃんの終活までも描きます。老境にいたりスコセッシにも思うところがあったのでしょうか?
とにもかくにも、あらゆる面で集大成的な作品と言えます。

まぁやっぱりデ・ニーロもパチーノもジョー・ペシも、背中とかお腹とかがもう後期高齢者の体型で、CG処理じゃ誤魔化せないツラさがあります。
(娘に触った店員ぶちのめすシーンなんて、おじいちゃんすぎて別の意味でスリリング……)
しかし、『グッドフェローズ』のバイタリティや『カジノ』の洒脱さとはまた違う、オンリーワンなマスターピースと言えるでしょう。
ところでセリフにチラッと出てきたけど、スコセッシ……シナトラの伝記も撮ってくれ〜〜〜!!!