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アイリッシュマンのmのレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
5.0
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」「沈黙 サイレンス」とここに来てキャリア・ベスト級の大傑作を連発するスコセッシの才気が今回も大爆発!
未だ若いエネルギッシュさを漲らせつつ後半になるにつれて映画は避けられぬ展開への緊張感と物哀しさを濃密に漂わせ、長い長いエピローグにはこれまでのスコセッシ映画にない老いの寂しさ、切なさ、その美しさ、侘しさがある。こんなに寂しい幕切れを迎えるとは思いもせず衝撃を受けた。古き男社会の終息も見据えている。

過去を順に辿っていく時間軸とそれを語る現在、そして決定的な出来事に向かうドライブの時間軸という3つの軸を並行して描いていく脚本の手腕も恐るべし。
引いた距離で特に強調もせず淡々と見せる、冷めた暴力描写の怖さ。
CG若返り&老けメイクはスクリーンで観ても違和感の無い自然さで、この歳で新技術を取り入れる貪欲さが流石スコセッシ。

役者がやはり皆素晴らしいが、これまでにない弱さを晒したデ・ニーロ、人たらしなパチーノ、そして何と言っても静かに凄みを発するジョー・ペシ!この3人が良い、皆キャリア・ベスト級。この人達の芝居を読む映画でもあって、その充足感たるや。

マフィア達の登場時に死ぬ年と死因をテロップで出す演出も楽しく、特に「万人に〜」は最高。

スコセッシ、若さと老いを共存させて今回も大傑作。
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