milk0901

アイリッシュマンのmilk0901のレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
5.0
敬服。平伏す。

お正月最高の映画初めにもなったけど、
2020年最高に成りかねん。

生きているうちにこんな感動を与えてもらえてよかった。後から後からじわじわと感情溢れ出す

次から次へと登場するオーラ凄すぎる名俳優達、意味深で感慨深い台詞の数々、
その表情や会話すべてが一瞬たりとも見逃せない。実際、あのひとが、あの台詞がこう繋がるのか…と発見が続くので3時間半が長くない

デニーロが愛しくて尊いのは昔からだけども、ジョーペシ、アルパチーノ、ハーヴェイカイテル、もうとにかく凄みに圧倒されてポップコーン食べる手が止まる。てか買ってごめん。
全部やばいけど、アルパチーノの初登場シーン、フランクとホッファの電話のシーンがもうめちゃめちゃすき。これです、これが観たくて来たんです!!
お前はペンキを塗れるのか?
あとラッセルとフランクの、戦時を騙る会話も。なんか印象的だし、2人の仲を近づけた機会な訳だけどそれが終盤に向けても〜効いてくる。なぜ自分の墓を懸命に掘るのか?

カメラワークも素晴らしい。
最初の老人ホームのロングショットなんか、あぁ始まったな、となぜか既視感。
爆発や発砲の前に視点が変わらない時があるのもなんかすき。はい、殺りました。みたいな冷静さ。
でも最近のテンポの速いアクション映画とか見慣れてるひとは許せなさそう。その冗長さがいいんだけど。

ブラックユーモア的な、クスリと笑っていいのかわかんないニュアンスもすき。
個人的には、登場人物が出てくる度死因が同時に出てくる時点で笑える。奥さんの死因肺ガン、そりゃそうだのくだりもすき。

フランクがどんどんしわしわになってどんどん孤独で寂しい老人になるのも、切なくて哀しいんだけど愛しさを感じる。
かつて自分達の権力や地位を疑わなかった男たちがスクリーンアウトしていく人生。
フランクの語りで構成されたストーリーだけど、最後まで、家族にだって神父にだってすべてを語らないのだから、虚実混沌としていたのかもしれない、と思うとまた観なきゃだ…

あーもうすべてすき。愛。
語彙力がなくて良さが語れない
派手な名台詞とか、派手なアクションシーンがある訳ではないからこその重厚感。この良さを感じられてる自分が幸せ。

めちゃくちゃに時間と金と大勢の努力が掛かっていたらしいから、
本当にこの作品を観られてよかった。敬礼。
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