このレビューはネタバレを含みます
ファッションデザイナーであるトム・フォードが、「シングルマン」に続いて撮った監督第2作目。
芸術家として活躍する主人公スーザン。裕福な夫とのハイソな生活だが、心は冷え切っていた。そんな彼女に元夫から小説の原稿が送られてくる。「君とのことをヒントに書いた。感想を聞かせて欲しい」との手紙を添えて。
映画は、現実の虚しい人間関係と、小説に書かれたとんでもなくダークなアメリカ南部の物語、そして前夫との過去を織り込んでいく。
前作のスタイリッシュな印象はいくつかの場面に見られるものの、小説に描かれたバイオレンスと救いのない展開に、映画を見終えてどよーんとした気持ちになる。
ラストは一切台詞を排除して、夫が残酷な小説に込めた真意が何なのかを明確に語られないまま映画は終わる。
深読みしてみる面白さはあるし、随所に巧い演出もあるのだが、とにかく後味が悪いので結局は好き好きかな。「シングルマン」のイメージで観ると痛い目に遭うぞ。