いかえもん

ノクターナル・アニマルズのいかえもんのネタバレレビュー・内容・結末

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

「シングルマン」を観る前に、こっち観ちゃったよ。

現代アートのアーティストとして大きな成功を修め、お金、地位などを手に入れたはずのスーザン。そのスーザンのもとに、昔別れた夫からある小説が届く…。

映画が終わる数秒前までずっとこの主人公スーザンのアホさ加減を露呈する映画。

以下完全ネタバレ。

これ、最後はきっとジェイクはこないだろうと思った。スーザンに会いたいと言わせる、そこまでがこの元夫の復讐だろうなと。
あの「会いたい」というメールが来た時、元夫は勝利した。自分の才能を認めず、自分と生まれてくるはずだった自分の子供をあんな形で捨てた女に勝利した。

基本的にスーザンは欲にまみれた自己都合な女だから、ジェイクが来ないということも予想できないし、自分は許されたと勘違いしている。もし私がスーザンなら、どんなことがあっても、あの元夫に会わせる顔はない。たとえあんな形で誘いをかけられても、行けない。それはもう意地と言ってもいいと思う。その意地がスーザンにはない。そこが彼女の「弱さ」だ。散々、彼を弱い人間だと言ったスーザンだが、本当の弱さとはなんなのか?強さとは何なのか?自分の考えを、生き方を、時には意地になってでも貫きとおす、そういう信念があるかないかなんじゃないかと思ったりした。

…けど、これって何通りも解釈有りなの?!私、この一択だったんだけど、根性ゆがみ過ぎ?!

そして娘は母親に似るとという言葉に震えあがった。確かに言われてみれば、私も母と同じ道をたどっている…と思わなくもない。
それにしても、出会ったころの彼らのシーンでのジェイクの笑顔は、すばらしかったな。さわやかな風が吹いたわ。
あとはシーンごとのつなぎ方が、トリッキーでおもしろかった。ジェイクにメールを書いたあとに、ジェイクがパソコンに向かっていると思ったら、それは物語の中の人だったり、物語の中で妻と娘が全裸の遺体で発見された後に、スーザンが電話をした先でも全裸の人間が2人横たわっている。これは現夫と愛人?と思いきや、娘とその彼氏。あ、娘はちゃんと生きているんだとわかるとか、その辺りのトリックに緊張感があってよかった。