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スニーカーヘッズのmanamiのレビュー・感想・評価

スニーカーヘッズ(2015年製作の映画)
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Filmarksのレビューで教えていただいた作品、配信終了前日に滑り込み鑑賞。
「エアマックス狩り」の話が出てくるからだろうけど、フィルマの成分ワードに「狩り」ってあるの笑える。当時は「せっかく苦労して手に入れても、狩られるのが怖くて履いて出歩けない」って状況だったよね。あの騒動も今となっては懐かしくもあるわ。
そういう、スニーカーを巡るいくつかの事象。毎年1000人以上がスニーカー絡みで命を落としてるという一言には、とんでもない狂気を感じるよ。
昔々はあちこちの店に足繁く通ったり、バイヤーとのコネクションを作ったりして、発売日情報も商品もゲットしていたのが、今は家にいてポチポチしてるだけでよくなった。ただ、その仕組みが一方では、転売とかプレミア価格とかを生み出してしまった。
この功罪はなにもスニーカーに限った話ではないんだけれど、今作では、企業の「限定」「コラボ」なんかの戦略がそれに拍車をかけている点にもしっかり言及しているのが良い。
ヒップホップを始めとした音楽、スポーツ、ストリートなど、スニーカーと切っても切れない関係にある分野にも目を向けている。ハイブランドのスニーカーや、東京のスニーカー事情も紹介される。
それに、入院中の子ども達がデザインするくだりも興味深いね。ああいう取り組みがあるなんて知らなかったな、こういうのもドキュメンタリー映画の醍醐味。しかもあのスニーカー、普通に可愛いし。
とは言えもちろん大半は、個人で何千足も所有しているようなスニーカーヘッズたちの話。何人もかわるがわる登場しては、購入後に箱も開けないまま放置しているのが千足以上だの、自宅には置ききれないからスニーカー用のスペースを借りているだのと、トンデモエピソードを延々と熱語りする。
まぁ、正直、何かしらの病的なものを感じないでもない。作品としてはけしてそういう表現にはしてないんだけど。でも、ある種の依存とか強迫観念みたいな空気は消せない。それに日替わりで1足ずつ履いていったとしても何年かかるのよとか、ツッコミながら観てしまう。
たかがスニーカー、されどスニーカー。

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