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プレステージのmanamiのレビュー・感想・評価

プレステージ(2006年製作の映画)
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「地獄、地獄に落ちること」「物事の最後の所、どん底」「劇場で、舞台や花道の床下。地下室となっていて、回り舞台やせり出しの装置があり、通路にもなる」すべて「奈落」という語が表す意味。英語ではどうなんだろうな。
名声に取り憑かれた「偉大な」マジシャンと、「教授」のようにトリックを追求するマジシャンとが、争いの末に奈落に落ちていく不毛さを描く。
テスラってワードけっこう序盤から出てたと思うけど、ショーの場面で「エジソンからの中傷が云々」みたいなセリフを聞くまで、誰のことかぴんと来てなかった。そうか、あのテスラか、だから電気ビリビリなのか!(そして演じてたのがデビッドボウイなのも後から気づいた!)
まあ、それは単純に、私がテスラを思い出すまで時間かかったってだけだけど、他もとにかくややこしい。「マジック」が題材でただでさえトリックとそのタネに翻弄されるのに、なにしろ監督がクリストファーノーランなもんだから、そりゃもう複雑、難解、不親切。
分かりやすいのはアル中の替え玉くらいか。あとは一番近くにいる家族すら欺いて、嘘偽りと虚飾の生活で、とりわけ女性たちが不憫極まりない。
しかもそんな巻き込み型マジック狂が二人(!)いて、お互いを騙し合うもんだからもう訳がわからんよ。アルフレッドボーデン役のクリスチャンベイルは、愛と狂気とを併せ持つ人物を、哀しく演じてみせる。
ロバートアンジャー役は私の長年の推しことヒュージャックマン、彼は本当、19世紀末のこういうコスチュームがよくお似合いだこと。復讐が目的から生きがいになっていく様が痛々しい。
マジックの3つのステージ、確認=プレッジ、展開=ターン、偉業=プレステージ。「誰も消える人間など気にしない」いろいろ分かると見返して確認したくなること必至。

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