シャチ状球体

パリ、恋人たちの影のシャチ状球体のレビュー・感想・評価

パリ、恋人たちの影(2015年製作の映画)
3.7
モノクロ映画だとそれだけで格調高く感じるから不思議。色と引き換えに映像の他部分を際立たせるミニマリズム的な演出だと言える。

ピエール、マノンに黙って浮気してる以外はドキュメンタリー作家を目指す普通の人なんだけど、関係者全員の同意が得られていない人間関係は最終的に上手くいかないと分かっているのに清算しようとしないところは救いがない。しかもピエールは自分が浮気をしたせいでマノンの浮気も知ってしまい、自罰感情と他罰感情が入り混じったまま二人の関係は大きく変化していく。

雨降って地固まる……みたいな終わり方は予想を超えてこない部分もあり、ただ同時に結婚生活を流動的なもののとして描いているところはインクルーシブでもある。
このベタなエンディングは、恋愛関係にある二人が背負わされる理想的なパートナー像を演じなくても、お互いがお互いを尊重さえしていれば全く無問題だというメッセージが込められているのかもしれない。

起きる出来事の一つ一つが煮え切らない感じなのがフランス映画らしくていいね……。
シャチ状球体

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