映像観し者

裁きの映像観し者のレビュー・感想・評価

裁き(2014年製作の映画)
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配信で鑑賞。インド映画。
65歳の歌手カンブレが自殺幇助の疑いで逮捕される。ある青年の自殺はカンブレの歌に影響されたと主張する警察に、若い弁護士が立ち向かう。
という裁判劇。
フライ・オン・ザ・ウォール方式のドキュメンタリーのように、あまり動かないカメラで構成された画面は静か。さらに法廷劇そのもののドラマを追うのではなく、登場した歌手や弁護士といった面々の日常を静かに追いかける時間が長い。なので法廷劇を期待すると全然話が進まない、ドラマがないようにすら思える。のだけれど、だんだんと本作の描きたいものは法廷劇そのものではなく、その法廷という場を構築する社会・人々という集団なのだとわかる。だからドキュメンタリー的な画面作りなのだろう。

複数の言語・宗教・民族、植民地時代の法律、検閲、不正捜査、流れ作業でガンガン進む裁判、とインドの問題として監督が描きたいものがぎっちり詰め込まれているように見える。
とはいえ前提となるインド社会の知識がないので映画を把握しきれない。
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