【アラン・ドロンのファンなら】
BS録画にて。
ギャング組織から足を洗おうとしたばかりに、妻と息子を殺された男(アラン・ドロン)が、復讐のために次々と組織の男たちを殺していくお話。
この映画、見どころは主役のアラン・ドロンしかない。というかそういうふうに作られた映画だと思う。シニカルで情感を排した展開だとか、各シーンの風景や建物などもそれなりに見応えがあるけれど、この映画ならではの魅力というところには達していない。
アラン・ドロン論を本格的にやる用意は私には全然ないんだけど、アメリカ映画流のハンサムというのとはちょっと違った、どちらかというと日本で言う二枚目(カネと力はない、と言われるのが日本の伝統的な二枚目である)的な、どこか陰りというか、女的な風情が容貌に混じっているのがドロンの特徴で、そこらへんに感応力がある人にはたまらない映画だろう。ここでは三十代後半で(出世作『太陽がいっぱい』の13年後だ)、もう若くはなく中年としての渋さがわずかに出てきている彼の姿を楽しみたい人にはお薦めである。
最後はあっけない。自分から死地に飛び込んでいった、ということなのか。