てるる

マッド・ドライヴのてるるのレビュー・感想・評価

マッド・ドライヴ(2015年製作の映画)
3.3
未体験ゾーンのデンジャラス版MDGP2016(モスト・デンジャラスシネマ・グランプリ)で公開され、モスト・デンジャラス賞を受賞した作品。

言うなれば劣化版「ナイトクローラー」という感じ。
ニコラス・ホルトが、のし上がるために同僚を罠にハメ、騙し、殺しまで厭わないクズ中のクズA&Rマンを演じる。
A&Rマンとは、音楽業界におけるスカウトマン。才能ありそうなアーティストを発掘して青田買いして契約、育てていく。
実は自分も昔A&Rマンに憧れてレコード屋に就職、バイヤーをしていた経緯がある。結局はそうなる前に薄給過ぎて辞めざるを得なかったけど。

でもこの映画を観てると相当厳しい世界だということや、音楽が好きだというだけでは務まらないことが分かる。
ていうか出てくるヤツがだいたいクズばっか…。
勿論、イギリスと日本では音楽をとりまく環境から何から違うんだろうけど、必ずしも芸術的な価値と売れる音楽は一致しないことや、宣伝費など巨額の投資が戻ってこないリスクなどは同じ。見出したアーティストが売れなきゃ自分のクビも危うい。

そんなプレッシャーや焦り、妬み嫉みから酒やドラッグに走り、人殺しまでしてしまう主人公には全く感情移入出来ないけど、「ナイトクローラー」のジェイク・ギレンホールと同じく何故か目が離せなくなる。
でも後半の展開がかなり雑になり、駆け足すぎて「え、これで終わり?」てなった。オチもなんか微妙。
終盤まできっちり作り込んでくれたらなかなか面白かったのに。
あと時々グロ描写があるのでダメな人は気を付けましょう。

それにしてもこの映画や「マッドガンズ」とか、いくらニコラス・ホルトが「マッドマックス」に出てたからといって出る映画にやたらと「マッド」とか付けるの止めて欲しい…
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